2013年10月22日火曜日

オバマケアの目玉である、医療保険の比較ウェブサイト。鳴り物入りでローンチしたが、実態はボロボロだった。


今月1日から続いていた政府のシャットダウンも17日に無事に終了、表面上は通常運用に戻った感のあるアメリカだが、まだまだ問題は山積みだ。シリコンバレーへのシャットダウンの影響の話は先日のブログで触れたが、シリコンバレーだからこそ(?)人々の関心を呼んでいるトピックスがある。

「オバマケア」は今回シャットダウンを引き起こした大きな焦点の一つだが、話題になっているというのはその政策そのものだけではない。そのために政府がローンチしたウェブサイトの運用と質についてだ。

そもそも「オバマケア」とは何か。現状15%にあたる4800万人が医療保険をもっていないというアメリカだが、これによって、医療保険がほとんどの国民にとって義務づけられる。医療保険に入っていないのは大きな経済的負担が原因な場合がほとんどなので、義務づけるからには、その点を解決する必要がある。それに加えて、保険会社が持病を持っている人への保険提供を拒否できないようにしたり、医療費の自己負担額の上限をもうけて、それ以上を超えないように守る規定も含まれていたりする(上限を超えた場合には、保険会社の負担となる)。

保険を含めた医療負担額を減らす解決策として、このウェブサイトは、複数の選択肢を提示し、それぞれのライフスタイルや経済状況によってどのプランが最適なのかを示すことを目指している。

保険会社はいくつも存在するし、各保険会社が提供するプランも多岐に渡る。このサイトでは各保険会社のウェブサイトを個別にチェックする手間を省けるように、複数の会社にまたがってプランを比較できる。例えばKayakで空席のあるフライトを比較して購入するように、健康保険を比較して購入できる検索・比較サービスだ。

このサイトのローンチはオバマケア政策の目玉の一つになっていて、オバマ大統領も初日にいかにこのサイトへのアクセスが集中したかを誇らしげに語っていた。が、その裏でさまざまな問題が報告されている。

実際、今日行われた会見では、大統領自らが数多く報告されるウェブサイトへの失望やフラストレーションを認めざるを得ない旨をコメントしている。

主な問題は、集中するトラフィック量にサーバーが絶えられなかったり、ユーザー登録がうまくできなかったり、購入プロセスがうまく動いていなかったりという点。

この記事によると、技術的な問題点は明らかなようだ。トラフィックへの耐久性、フロントエンドのユーザーエクスペリエンス(UX)からバックエンドの設計まで、さまざまな原因が挙げられている。

では、これらは未然に防げたのか。

もちろん、上記の点をきちんと把握したエンジニアによって構築されれば技術的に防げることは可能だっただろう。では、それを不可能にしたものは何か。

どの国でも共通したものとして、民と官を隔てる壁が浮き上がってくる。

実はどの州も、州独自のサイトをローンチするか、政府のサイトを使うかという選択肢が与えられた。また、民間の会社と提携してサイトを構築するという選択肢もあったという。ところがカリフォルニアでは、民間会社への構築・運営をアウトソーシングは「時期
早尚」として行わないことにした。

シリコンバレーを中心に多くのスタートアップがすでに同じような目的のサービスを構築しているだけに、この判断を批判する声も多い。もちろん事後に「こうすればよかったのに」と言うのは簡単だけど、少なくとも政府のサイトよりも機能的にもデザイン的にも質の高いものが多いというのは事実のようだ。そのノウハウを利用しないというのは、官のおごりだったというのが批判のポイントだ。

今日の大統領のコメントでも、テクノロジーのエキスパートを入れて24時間体制でサイトの修復・強化に励んでいるという。失敗を認めた今、その修復にどれだけ迅速に対応できるかが注目される。

そもそも一般の企業だったらここまでの対応の遅さだけで、サービス終了となりそうなところだが、幸か不幸か、この時間感覚は政治の世界のスタンダードからすると大して遅くないのかもしれない。ただ、失った信頼のダメージは民間企業のケース以上に大きいだろう。

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