2009年6月15日月曜日

加速するPrius人気

トヨタが2010年発売予定のルーフ一体型ソーラーパネル付きプリウスがアメリカでも話題になっている。トヨタは相当数のテレビコマーシャルを打っていて、その中でもソーラーパネルを強調、さらなる「グリーン」性を全面に打ち出している。数週間前には、日本と中国での生産に続いてベイエリアにあるGMとトヨタの合弁工場NUMIでのプリウス生産を検討中との噂が出回った。ただ今月初めに起こったGM倒産という困難な財政状況もあり、いまのところ公式には否定されている。カリフォルニアは環境規制が厳しいこと、また一般に環境問題への関心が高いため、アメリカの中で需要が高いエリアの一つとなっていて、トヨタが打ち出している「需要の高いところのみで生産する」という方針には沿っているのだが。

しかしこのソーラーパネル、意外なことにバッテリーへの充電はできず、駐車中の車内の換気に留まるというのにはがっかり。リモートで空調をオンにすることができるなどのおまけつきだが、それでも、日向に駐車した車に戻った際にエアコンをがんがんつけて車内を冷やす電力が節約できるというだけらしい。バッテリーにつなげて充電して、そのパワーだけで車を動かせるようになるようになるにはまだ何年も先、とのこと。

それでもすでにウェイトリストができているこの新型プリウス、その関心と需要に目をつけて、標準プリウスに取り付けられるソーラーパネルを生産しているSolar Electric Vehiclesという会社がある。これによって、一日あたり15マイル走行できるだけのパワーが得られるらしい。この外付けシステムは3500ドル、一つ生産するのに1週間程度かかる。注文が殺到していて、この数週間は注文を裁くだけでいっぱいいっぱいだという。自分で取り付けることもできるという手軽なものだ。

いずれにしても明るい第一歩だが、それでも課題は多い。まずバッテリーにつなげて車を動かすためには巨大な表面積が必要で、車一台のルーフの表面積ではまったく足りないのだ。車のルーフに取り付けるのではなく、例えば駐車場の屋根全体にソーラーパネルを取り付けるなどした方が現実的だという声もあがっている。

もう一つの課題は、ソーラーパネルのコストが高いことだ。ただ、高まる需要に伴いコストはだんだん下がり、生産性はあがっていて、ある調査によると、2010年までにはパネルの材料となるCrystalline siliconシリコンの生産量も、生産性も大きく進化するとされている。今日1ワットあたり1.9ドルかかるコストが、5年以内には1ドルに下がると見込まれている。特にエネルギー費用が高いとされているニューヨーク、San Diego, San Francisco, Las Vegas, Phoenixでは、2015年までには今Natural Gasで作られているエネルギーだが、そのコストを超すとされている。

つまり日射時間の長く、既存のエネルギーコストが高いカリフォルニアでは、ますますソーラーパネルを促進するインセンティブが高まる。

2009年6月14日日曜日

マラソンブームは日本だけじゃない!シリコンバレーにはリッチなランナーが多かった

遅ればせながら、つい最近日本のランニングブームについて知った。今まで運動と言えば、ヨガくらいしかしていなかった友達さえ、「皇居の周りを走っている」とか「東京マラソンの抽選に漏れた〜」と悔しがっているので何ごとかと思ったら、実は全国的なブームだったんですね。

確かに今までファッションとレストラン情報が中心だった女性向けのウェブサイトを見ても、「 うしろ姿も手を抜かない! 褒められRUNファッション」とか、「女性らしく華やかに。上半身は色使いが決め手」とか、スポーツが目的でありながらファッション化している様子が伺える。

ブームのきっかけは2007年に始まった東京マラソンとのことだが、その東京マラソン、今年は35,000人の定員に対して、 261,981人の応募があったと言う(10K含む)。昨年からしても68%の伸びという、驚異的な倍率。

各スポーツメーカも、このブームを利用しない手はない。ランニング専門店をオープンしてランニングウェアのラインナップを充実させたり、雑誌で特集を組んだり、また定期的に練習会を企画しているらしい。ランニングスカート?という新たな市場の開拓に代表されるように、ビジネスチャンスを逃さないというところがいかにも日本らしい!(いまだに実物を見たことのなく、テニス用のスコートとの違いがいまいちわかっていませんが。。。)

いずれにしても、東京がランニングによって活性化して、かつビジネス的にも新たなマーケットが確立して、その上みんな健康になるのであれば、それに超したことはない。

一方海外では、ホノルルマラソンとかニューヨークシティマラソンとか、ボストンマラソンとか、数万人規模の代表的なマラソン大会は数多くあり、歴史も長い。ここサンフランシスコでもランニング文化は広く浸透していて、街のそこらじゅうをランナーが駆け巡っている。とにかくランナーと犬が多い街だ。特に日曜朝のサンフランシスコは極端。そもそも早起きしているのは、ジョギングしている人、ヨガに行く人、そして犬の散歩をしている人くらいだとも言える。つまり週末朝のサンフランシスコは、ランナー、ヨガマットを肩にかけたベジタリアンっぽい細身の女性たち、それから犬の散歩をする飼い主がほぼ大半を占めていると言っても大げさではない。

しかもこのエリアには、ハードコアなランナーがやたらと多い。湾沿いのマリーナと呼ばれるエリアはゴールデンゲートが見える絶景のランニングコースだということもあり、ランニング用に設計された乳母車に赤ちゃんを載せて押しながら走るママランナー、犬と一緒に走るランナー、サンフランシスコ特有の急な坂を駆け上っては下り、また駆け上るという体育会系なノリの年配ランナーたちが結構いるのだ。

友達や同僚と話していても、ジョギングやマラソンの浸透率を実感する。ジョギング、という軽いノリではなく、ハーフマラソンはもちろんのこと、フルマラソン、さらにはトライアスロンの経験者も結構いるのだ(しかも女性も多い!)

そこで全米、カリフォルニア、そしてシリコンバレー〜サンフランシスコにかけた地域、いわゆる「ベイエリア」のマラソン人口は果たしてどれくらいなのか、調べてみた。

まずは全米規模のデータから。



ロードレースを完走した人口の推移を見ると、年々着実に増加の一途をたどっている(ロードレースとは、5キロからフルマラソン、市民大会からオリンピックまで、公式タイムの出るレースは何でも含まれる)。2007年のデータだとほぼ900万人。データがないために残念ながら未確認だが、同じ伸び率が適用されると仮定すれば、2009年には1000万人は超えていてもおかしくない。

では次に、主要都市レベルでのデータ。以下のグラフは、アメリカの主要都市の中で「ランナー」の比率が高い都市のランキングになっている。これによると、 San Francisco /Oakland/San Joseを含むベイエリアは、第一位。一年を通して天気は良く湿気も低く、また健康志向が強いことを考えれば、納得のいく結果だ。



でも「ランナー」の定義って?そんな疑問に答えるべく、「ランナー」という曖昧な定義を「マラソン完走者」という明確な定義に置き換えた、各市の全人口に対するマラソン完走者の比率ランキングを紹介。すると予想に反して、カリフォルニアの市が一気にランキングから消える。前述のグラフ2よりももっと細かい「市」レベルで集計しているランキングなので一概にグラフ2と比較することはできないが、それにしてもベイエリアどころかカリフォルニアの中でもランクインした都市は Irvineのみ、という散々な結果だ。



ここでこのデータの提供者は、マラソン完走者率と各市の相関性を調べている。まずは公園の数を調べたが、何の相関性も見つからず。次に人口密度に目をつけたが、 これも失敗。人口密度の高い市も低い市も、ともに完走者数トップに名をあげているのだ。

彼がいろいろな角度から分析した結果、ようやく見つけた法則はマラソン完走者数と住民の職業分布との相関性だった。管理職、プロフェッショナル(専門職)、つまり高学歴なエリートサラリーマンたちが多い市で、高いマラソン完走者率が見られたのだ。高い生活水準と安定した経済力がマラソン完走者率のカギだった、ということになる。
となるとベイエリアは典型的なランナーの街として、ランキングに名を連ねそうだけど、何故グラフ3からは漏れているのか??その答えとなる別のランキングを見つけた。

以下のグラフは、市ごとの平均マラソン完走タイムのワースト10だ。このタイムが遅い市ほど、トレーニングを積み重ねたエリートランナーが少なく、初級者ランナーの比率が多いということになる。見ておわかりのように、何とすべてカリフォルニアの市で占められているのだ!



以上の複数のデータを合わせると、カリフォルニア、特にベイエリアは初心者を含めて、走るという習慣がより広く浸透しているということになる。マラソンでタイムを競うようないわゆる「エリートランナー」という観点では、全米トップ10にかすりもしないが、ゆるい定義の「ランナー」の比率では全米一。つまりランニングの敷居が低く、誰でも挑戦できるという環境と文化を作り出しているということになる。

さらに、前述のランニングと職業分布の相関性からも、ベイエリアのランナー数が多いのは納得がいく。健康志向が高いことに加え、ストレス発散の効果も期待されるランニングは、ハイテクエリアに住むエリートたちに最適な趣味であり、息抜きになっているのだ。シリコンバレーで数多く生まれるサクセスストーリーの秘訣はランニング?にあるのかも。

2009年6月7日日曜日

iphone人気の理由はアプリにあり?

日本では伸び悩んでいるiPhoneだが、アメリカでの人気は留まるところを知らない。シリコンバレーという土地柄もあるんだろうけど、わたしの同僚の間でのiPhone所持率は50%を超えている。またこれも土地柄なのかもしれないが、ユーザーとして所持するだけではなく、ディベロッパーとしてiPhone用のアプリケーションを開発するという点でも盛り上がりを見せている。多くの企業やサービスがPCウェブ用の既存アプリケーションをiPhone用に書き替えるというケースはもちろんのこと、iPhone向けとして新たに開発されるアプリの数も急増。本業や学業の傍ら気軽に作ったアプリケーションが大当たりして立派な収入源になるという夢のある成功例が増えているため、ある種トレンドのようにすらなっているのだ。右のグラフに見られるように、iPhoneアプリ数は順調に増加中。今年5月中旬時点で46,000以上が公開されていて、この豊富さがiPhone人気の大きな理由とも言われる。とあっては、競合が目をつけないわけはない。


Blackberryを手がける RIM(Research in motion)は、今期からディベロッパーが開発したアプリケーションを集めた「AppWorld Website」をリリース。このオンラインストアを設けることによって、アプリケーションの「ワンストップショッピング」化を実現させようとしている。ではアップルとの違いは何なのか?

まずはディベロッパーにとっての違いから。ブラックベリーの場合、ディベロッパーは自分のアプリケーションをオンラインストアに登録するのに、「登録料」という名目で200ドルを払わないといけない。その上、RIM の審査を通らないとオンラインストアに参加することができない。RIMはこのプロセスを通すことで、掲載アプリの質を保とうとしている。一方iPhone の登録料は99ドルから299ドルと異なるが、これは主に個人ディベロッパーか企業ディベロッパーかの違いによるものだ。個人であれば、99ドルが主流と仮定できるが、これは年間料なので毎年更新するたびに払わないといけない。では、ディベロッパーの大きなインセンティブとなるレベニューシェアの割合はどのように違うのか。アップルは全収益の70%をディベロッパーに支払うのに対してRIMは80%。審査が厳しい分、分配率も高いと言ったところだろうか。

では我々ユーザにとってのメリット、デメリットは?ブラックベリーについてまずあげられるのが、各アプリケーションの単価が高いこと。iPhoneのアプリケーションは無料や99セントのものが多く、平均価格も2.5ドルに留まる。対してブラックベリーのアプリケーションは最低で2.99ドル、平均するとほぼ3-4ドルにまでなる。ただ一方で、iPhoneよりも複雑なものが多い。つまり複雑なだから単価も高い、とも言える。ちなみにこの値段、初期ダウンロード時にかかるだけで、一度インストールしてしまえばその後は無料だ。ブラックベリーのもう一つの欠点は、決済がPaypalを通してのみ行われること。Paypalという外部システムに頼っていること(しかもPaypalの安定性はいまいち?)、また利用者がPaypalのアカウントを持っていることが条件になるという点は、大きなマイナス点だと言える。

ここでもう少しアプリケーションの質と単価について考えてみたい。先に触れたように、iPhoneは無料もしくはせいぜい99セントのものが多い。ただ質はと言えば、あきれるというか、笑うしかないというか、本当にくだらないものも多い。実際「ゲーム」と呼ばれるものは5分の1にも満たず、「エンターテインメント」に分類されるものがゲームに並ぶくらい多いのだ。



「エンターテインメント」カテゴリーに分類されるアプリとは、例えばiPhoneを銃のように見立てて遊ぶもの。アプリケーションを立ち上げると銃の絵が画面に現れて、発射ボタンを押すと銃のような音をたてる。ただそれだけ。それによって得点が稼げるわけでも敵を倒すわけでもないので、ゲームと呼ぶにはほど遠い。また日本人にもウケそうなのが、暇つぶしのプチプチ。画面を緩衝材として使われるシート状のプチプチ(ポリエチレン製の無数の気泡のシート)に見立てて、単に気泡をつぶしていく。ゲームとして早さを競うわけでもなく、ただ単にプチプチをつぶすというだけ。他にはライターのように着火できる(もちろん画面上でだけ)というアプリケーションもある。強く振ったり吹いたりすると火が揺れたりする。

さらに一歩進化した「ゲーム」と呼ばれるカテゴリーを見てみても、一番人気はFlight Controlという超単純な飛行機操縦ゲーム。ランダムに画面上に現れる飛行機やヘリコプター同士が衝突しないように、着陸路に誘導する。だんだん飛行機の数が増えてくるので着陸路は忙しくなり、その分手早く誘導しないといけないのだが、それでも着陸路数が急激に変わったり構造が複雑になるわけではない。そんな至って単純なこのゲームは99セントで売られていて、今年の3月以降で70万ダウンロードを、ピーク時には一日2万ダウンロードを記録したという。

これほど単純なゲーム(ゲームとも呼べないようなものも含めて)がiPhoneユーザーにウケている、という一見不思議に見えるこの傾向。実はこのような単純アプリケーションが、iPhoneの勢いを支えていると言っても過言ではないのだ。ある見解によると、こういうものがはやるのにはいくつかの理由があるという。まずは空き時間が数分あれば手軽にできること。頭を使って考える必要がなく、しかも複雑なゲームではないので完結しなくてもいい。いつでも始められていつでも辞められるので、たった5分の待ち時間にでも気軽に遊べてしまう。そしてその気軽さがゆえに、罪悪感を感じることなく遊べる。つまりたった5分だったら時間を無駄にしている罪悪感もないし、逆に有効に利用しているような錯覚にすら陥る。1時間続けて集中しないと満足感が得られない複雑なロールプレーゲームとは違う。また罪悪感と言えば、金銭的な負担が少ないのも大きなポイントだろう。無料かせいぜい99セントであれば、10回で飽きたとしても、まいっかと思えてしまう。

iPhoneユーザ一人あたりの平均アプリケーション数は20で、どの競合と比較しても飛び抜けて高いというデータが出ている。また、i-phoneユーザのアプリケーションあたりの平均利用回数は10回程度というデータも出ている。これは無料や99セントという格安な値段のものが多いという結果だろう。

このようなデータからもわかるように、iPhoneは電話を超えて多様プラットフォームと化している。裏を返せば、それが日本ではいまいちウケていない要因とも言えるだろう。では、実際にユーザがiPhoneを電話として使っている時間と、音声以外のアプリケーションを利用している時間に特徴は見られるのか。

1年前のデータなので最新とは言えないが、International Business Timesによると、iPhoneユーザが電話として利用する時間はたった46.5%だということが判明 。一方でブラックベリーの利用者は71.7% が電話として利用していた。また、同レポートによると、利用時間のうちiPhoneからのインターネットへのアクセス時間は12%以上。他の携帯電話からのネットへのアクセス時間は2.4%であることと比較すると、異様に高い数値だと言える。
また平均iPhoneユーザは全利用時間の11.9% 、音楽を聞いている。他の携帯電話ユーザでは、この数値も 2.5% にとどまる。これらのデータに証明されるように、iPhoneは単なる電話としてではなく、エンターテイメントのプラットフォームとして、携帯電話以上の機能とイメージを確立したと言える。

この影響は携帯電話、スマートフォン業者だけには留まらない。例えば任天堂が今年の4月に発売して順調な伸びを見せているDSi、その好調な要因のひとつはアップルを真似たオンラインのアプリケーションストアだと言われている。ディベロッパーの開発したゲームが数ドルで売られていて、ユーザはiPhoneのように即座にオンラインストアからアプリをダウンロードして遊ぶことができる。このように、伝統的な携帯電話業者ではないゲーム会社が競合としてあがってくること自体、アップルがいかに携帯市場外に影響力を広げ、ある意味新たな市場を開拓したかということが裏付けられる。

とはいえども、当面の脅威は伝統的「同業者」のスマートフォン、ブラックベリーやGoogleのアンドロイド、また新機種の発売を発表したPalm。例えばブラックベリーの場合、ビジネス用途が主流というブランドイメージの転換、オンラインストアの活性化(ユーザがいないところにはディベロッパーは集まらないし、逆もしかり、というネットワーク効果をどう作り出せるか)、そしてアップルのようにユーザを常に飽きさせないスピード感をいかに備えるか、などさまざまな挑戦が待ち受けている。スマートフォン競争は一層熾烈になると予想されるが、消費者にとってオプションが増えるのは大歓迎だ。

2009年6月1日月曜日

Twitterは企業の味方か敵か

以前話題に取り上げたTwitter、個人ユーザだけではなくセレブや企業もプロモーション活動やユーザからの情報源として多いに活用していると書いたが、最近そのオープンさが逆に企業の悩みの種となっている。企業の公式アカウントであれば企業の完全コントロール化にあり心配ないが、問題は社員や企業関係者からのランダムな情報発信。社員や契約社員が、企業の幹部、クライアントや顧客に関する悪口を発信したり、ある会社の面接を受けた人がその会社に対する悪印象をネット上に発信するケースが増えているという。

もちろんTwitter以前も、ブログやフェースブックなど社員がネット上で会社の話題をネットに持ち込むことは可能だったが、Twitterによってその「気軽さ」に拍車がかかった。携帯から発信できることも手伝って(フェースブックは最近まで携帯からの書き込みが制限されていた)、ちょっとしたぼやきを酔っぱらったついでに友達に愚痴る感覚でブロードキャストしてしまうのである。競合に社内機密を流してしまったり、社員や企業幹部の悪口を書いたり、また顧客の愚痴をこぼしたり。不適切なTweetsのせいでクビになるというケースも出てきている。

その対策の一つとして、ソーシャルネットワークサイトへの社内からのアクセスを制限している企業も増えているが、会社外からのアクセスや携帯からのアクセスまで制限することはできない。また、アクセス制限をすることが必ずしも根本的な解決にはならない。やるなと言われれば抜け道を見つけてさらにやりたくなるのが人間の心理。また、企業にとってもこの新たなツールを最大限利用すれば新規顧客層にリーチできるという大きなビジネスチャンスでもあるので、完全にそのツールを禁止したくない。ただマネージメント層の多くはTwitter世代でないがゆえ、実際に自分や周りの友達が利用していなければ、その心理もルールもわからないのだ。

このジレンマを克服すべく、最近では外部のコンサルティングチームを雇ったり社内に専属チームを作って「Twitter対策」に積極的に乗り出す企業も増えているという。例えばGEは10人ほどのチームを立ち上げて、社名に関するTweetsを積極的にモニターしている。また、「ぼやき」を社外に流す前に社内ネットワーク内で解決しようという試みも行われている。つまり、社内ソーシャルネットワークを立ち上げて、不満をまずは社内で解決しようというわけだ。ただ身元がすぐにわかってしまう社内という枠で、社員がどれだけオープンになれるのかというのは疑問だけど。

個人的には、学校でのIT教育の一環としてソーシャルネットワークを利用する上でのマナーとか道徳とかをどんどん積極的に教えるべきだと思う(長期的な対策だけど)。そういうクラスは単なるテクノロジーだけを教えるのではなく、マナーもきちんと理解させるべき。この手の問題って特に目新しいものでも複雑なものでもなく、基本的な道徳観と常識があれば簡単に応用できるものだと思う。となれば、子供にも簡単に理解できるはず。