2010年1月25日月曜日

Twitter(ツイッター)、バレンタインにも一役買う?

アメリカで1860年以来、メッセージ入りのキャンディーを作り続けているNECCOが、今年のバレンタインに向けて、キャンディーにスタンプされる新たなメッセージを発表した。投票によって決められた今年の愛の人気メッセージの上位は、1位から10位まで順番に、'tweet me', 'text me', 'love bug', 'you rock', 'sweet love', 'me + you', 'sweet pea', 'love me', 'soul mate', 'puppy love'。

'call me'は20世紀のメッセージだとしても、10位くらいには入ってもよさそうな'email me'でさえ、一世代前の言葉になってしまったという個人的にはショッキングな結果。。

このNECCO、キャンディーを作っている伝統的な製菓会社にしては最近のテクノロジーへの対応に頑張っていて、iphoneのアプリまで開発している。このアプリ、何をするかと言うと、Twitter(ツイッター)のアカウントから5つまでメッセージつきのバーチャルキャンディーを、相手のTwitterのアカウントに送れるようになっている。

150年の歴史を持つキャンディー会社と、この数年で爆発的に人気の出たtwitter。一見共通点がないように見えるだが、実は大きな共通点がある。それは限られた文字数の中でいかにメッセージを伝えるか、ということ。Twitterの140文字という文字数制限はすでに短く感じるが、一方のキャンディーはせいぜい7文字くらいが限界という、twitterの究極版なのだ。

ちなみにこのコラボに関して、2つの会社間で金銭のやり取りはまったくないらしい。NECCOにとっては、キャンディーを使ってTwitterを宣伝するのが目的ではなく、あくまでも社会現象を反映した結果だから、とのこと。確かに日本語の「グーグる」の例にもあるように、会社名やサービス名の動詞化は、大成功の一つの証かもしれない。

2010年1月5日火曜日

オバマは大企業のCEOになれるか

ここ最近に始まった話ではないが、シリコンバレー系の企業で重役を勤めた有名人たちが政界に進出するケースが増えてきている。最近良く目にするのは、1998年から2008年までebayのCEOを勤め、共和党からカリフォルニア州知事に立候補宣言したMeg Whitman(メグ・ウィットマン)。そのMeg Whitmanが2008年の大統領選時に支持表明した、マサチューセッツ州知事のMitt Romney(ミット・ロムニー)も、もともとはコンサルティング会社Bain & CompanyのCEOだった。2003年から2007年まで州知事として勤めていて、2012年の大統領選にも再度出馬を表明するだろうと見られている。

元大企業のCEOと言えば、HPのCEOだったCarly Fiorina(カーリー・フィオリーナ)も2008年にオバマと大統領選を戦った共和党John McCain(ジョン・マッケイン)の経済アドバイザーを勤めていて、最近ではカリフォルニア上院議員選に出馬するのではと噂されている。

またそこまでの有名人でないとしても、シアトルでは元マイクロソフトの重役が数人こぞって政界に進出しているという話もある。

ここでふと疑問に思うのが、「成功したビジネスマン、もしくはビジネス経験の豊富な人材は政治家としても成功できるのか」ということ。そして逆に、2008年の選挙戦を騒がせたObama(オバマ), McCain(マッケイン), Biden(バイデン)やPalin(ペイリン)などは、ビジネス界でリーダーとしての素質を発揮できるのだろうか?(この4人全員が必ずしも政治家として成功しているとは言えないので、「ビジネス界で」ではない点を強調させてください)

前述のCarly Fiorinaが、最近公の場で「今の政界を仕切っている政治家たちは、HPのような大企業を動かしていくことは決してできない」と発言している。皮肉な見方をすれば、彼女自身のCEOとしての評判は散々だったので、CEOとして成功しなかった自分でも政治界では成功できる可能性があると密かにアピールしているのかもしれない。

では、企業のCEOに必要な素質とは何だろう。そしてそれは政治界でのリーダーのそれとどう異なるのか。

大きな企業でCEOの地位まで上りつめるためには、能力や経験はもちろんだが、自分を売り込むことに長けていることが必須だ。自己主張が強く自分のポジショニングや売り込みがうまくなければ、大企業のトップにまで上り詰めることは不可能と言っても過言ではない。わたしの個人的な経験からしても、アメリカ人の自己アピールはハンパじゃない。日本的な遠慮とか周りへの計らいとか言っていたら、言葉通り蹴落とされてしまう。ただ、一度トップの地位に着いてしまうと、アピールする対象と相手が一転する。今度は、自分が他の社員よりも優れていることを社内の上司にアピールするのではなく、社外に対して、会社全体そして自分が動かすチームがいかに有能かを売り込むことが要求される。

また会社のトップともなれば、投資家や金融アナリストなど、社員とは違った観点で会社を評価する、厄介な部外者を相手にしなければならない。例えば短期的なリターンを求める投資家に対しては、社内での長期的戦略をサポートする数値は大して評価されない可能性がある。さらに厄介なことに、彼らは会社のトップであるCEOよりも力や発言力を持っているのだ。

違った目的を持ったさまざまな関係者たちの多様な期待に応えられるよういかにチームをまとめられるか、がカギになる。一人でやり遂げる規模のことではないので、社員からの信頼は必須で、その点はボランティアをまとめて市民や国民にアピールしていく政治家と似ているかもしれない。

ということは、成功したCEOは政治家としても成功する素質があるということか?

Steve Jobs(スティーブ・.ジョブス)を例にとってみたい。学歴的には大学の途中で退学、マネージメントのトレーニングなども受けていないなど、履歴書上では政治家としては失格になりかねない。ただジョブスがCEOとして失格だという人は、誰もいないだろう。

彼はエンジニアとかデザインとかファイナンスといった狭い分野のエキスパートではなく、大きな視野と方向性を持ち、エキスパートの集まりであるチームをその方向に導くことができる、いわゆる「ビジョナリー」だ。それに加えて、そのビジョンを達成するために良い人材を選ぶ目を持っていること、そして厳しいながらも必ず結果を出すという徹底したスタイルが特徴だ。カリスマ性がスキルと言えるかどうかは微妙だが、少なくとも影響力とか威圧する雰囲気や、良い人材を選ぶ目というのは、政治家としてももっとも必要なスキルの一つだろう。

ではそんなスティーブ・ジョブスは、政治家として成功できるのか。古い慣習が残るだろう政治の世界では、年功序列とか系列とかあるから、そこまで他人にシピアだと衝突は避けられないだろう。ビジョンを持ちながらも人にうまく合わせる(というか、合わせているという錯覚に陥らせながらも実は自分のペースに持ち込む)ことが必要で、ある程度の配慮や根回しは避けられない。

またジョブスの結果主義という点でも、数値で結果が出やすいビジネス界とは異なり、政治家の結果はなかなか定量化しにくい。ビジネス界のリーダーは定量的に評価されることに慣れていて、逆に言えば、自分の部下の評価も数値に基づくところが大きい。一方の政治界では、自分の右腕だったりサポーターの評価はなかなか定量化できない。一言で「良い人材の選択」と言っても、「良い」の定義が異なってくるため、選りすぐりの人材を選ぶ観点もスキルもまったく同様ではないことがわかるだろう。

つまりリーダーとしての素質とは基本的には同じだけど、ビジネス経験が政治家としての成功を保証しているわけでは決してない。また逆も然りで、協調性や同調することばかりを探っている政治家は会社の致命的な決断のタイミングとか舵取りをミスしてしまう可能性が高いと想像できる。

ただ一つ確かなのは、ビジネス界出身の政治家が増えていることが証明しているように、シリコンバレーを中心に、テクノロジー系のビジネス経験者の、政界への影響力は強まる一方だということだ。