2011年2月24日木曜日

マイバッグは、グリーンなサンフランシスコ人にとってますます必需品となりそうだ

サンフランシスコでは、2007年にスーパーなどがプラスティックの買い物袋を使用することを禁止した。全米初となったこの条例では、土に戻しやすい生物 分解素材を使ったものか、もしくは布製のバッグや紙袋の配布が義務づけられている。サンフランシスコではこの条例を適用してから15-20%もプラス ティックの袋のゴミが減ったという結果が出ている。

今では周辺の多くの町でも同じような条例を適用、もしくは検討している。マリンカウンティーでは、この1月に条例が通った。パロアルトは2009年に限定 されたスーパーで始めた条例の範囲を、もっと多くのスーパーに広げようとしている。サニーベルも今年末を目標に条例制定を目指しているという。加えて、 Fremont, Daly Cityなども検討中だとのこと。

プラスティック業界はもちろん大反対で、彼らの主張するポイントは2つ。禁止する代わりにプラスティックのリサイクルプログラムをもっと奨励すべきということと、紙の買い物袋の環境による影響もプラスティックとは変わらないという点。

リサイクルプログラムのメリットとして、買い物客に対して多くのオプションを与えられというのに加えて、コストを押さえられることを挙げている。

と言えば、確かに気になるのが紙の買い物袋。プラスティックに比べてそこまで環境に優しいのか?

サンノゼ市によって行われた調査によると、紙の買い物袋とプラスティックでは、環境への害は対して変わらないという。となると、この条例をさらに広げて、紙の買い物袋まで禁止しようとい動きも盛んになるのは容易に想像できる。

サンノゼでは調査の結果を受けて、2012年から紙の袋に対して10セントの課金を開始、そして2年後には25セントに増やすことを予定している。サンフランシスコでも紙の買い物袋の禁止を検討している。

確か日本の杉並区ではレジ袋1枚5円の有料化を行っていたが(もう変わっているかもしれないけど)、その結果マイバッグ率が80%も上ったそうだ。アメリ カだと買い物の頻度が少ない代わりに一度に大量に買い込むので、もう少し課金しないと十分なインセンティブにならないといったところだろうか。

確かにサンフランシスコ市内にいると、布の袋を3つも4つも持ち歩く人が少なくない。食料品を溜め込むアメリカ人だけに、それだけの買い物袋が必要になる んだろう。アメリカの大都市にしては珍しく、公共のバスやZIpCar(時間制レンタルカーのようなもの)を利用して、布の買い物袋をかついで、1週間分 の食料を買いだめに週末買い物に出かける人を良く目にする。これぞ環境にうるさいサンフランシスコという感じ。

そう言えば、昔は「紙にするかプラスティックにするか?」という質問を良くレジでされたけど、最近はめっきり聞かなくなった。プラスティック業界の主張す る「選択肢がない不便さ」についてだけど、個人的には聞かれたら聞かれたで結構困っていた。選ぶ基準としては、プラスティックだとあとからゴミ袋に使える かなというくらいで、さして好みもないのに適当にどちらかを選んでいた。となると、選択肢が少なくて選ぶ必要がないのは、逆に便利になるなと思ったりする んだけど。

2011年2月23日水曜日

ベンチャー・キャピタルの勝ち負けを決めるのもフェースブック

ベンチャー・ファンドの世界でも不況の影響は大きく、新たなファンドの数も集まる金額も、2007年以降は年々減少している。

ただし金額も数も伸びるところを留まらない分野がある。それは、ウェブベースのコンシューマー・プロダクトだ。

全体的には2010年には109のベンチャー・ファンドが集まり、116億ドルが集まったので、2007年の215のベンチャーファンド、401億ドルという結果と比較すると、大きな落ち込みだ。

ところが大手のウェブベースのコンシューマー会社を投資先に持つような有数のVCについては、ファンド数、金額とともに増加していて、今年もその傾向は変わらないようだ。

パロアルトに拠点を持つAccel Partnersは、フェースブックとグルーポンという2大サイトに投資している。今年は新たに4つのファンド、20億ドルを超える金額を集めたという噂だ。

一方でZyngaとTwitterに投資しているKleiner Perkinsは、10億ドルとの噂。

J.P. Morgan Chaseなどもインターネット系の会社に集中的に投資するファンドを開始するらしい。

すでにフェースブック、グルーポン、Zynga、FourSquareなどに投資実績があるVCが優位にたち、それらのVCにファンドが集まりやすいのは 当然のこと。となると、これから新規に参入しようとするVCは次のフェースブックを探すところからの出発になるが、それにしてもそこまでのファンドが集ま らない。

勝者がどんどん強力になっていく構図のようだ。

2011年2月17日木曜日

フェースブックとは仲良くしておいた方が得か、それとも真っ向から勝負すべきか。各社に迫られる選択。

Wall Street Journal にフェースブックの話が出ていたので、あらためて紹介。

フェースブックは敵か味方か、というのがテーマだ。どう自分をポジショニングするかとも言い換えられる。つまり仲良くしておいた方が得なのか、それとも敵と見てシェア争いを積極的に繰り広げるのがいいのか。各社はそのスタンスを問われている。

今のオンラインサービス業界図に名前を連ねる大物の数々、それらの境界線がはっきりしない構図になりそうな兆しは前からあったけど、最近その傾向がますます色濃くなってきている。その中心に位置して、台風の目のように周辺をかき乱しているのは、フェースブックだ。

例えばヤフー。ここ何年も「ソーシャル」になろうとして、もがいてきた。'360 social network'、'Yahoo mash'、'Yahoo updates'、'Yahoo Pulse'など数々の「ソーシャル」なプロダクトをリリース、昨年にはフェースブックもどきの'like'や'share'機能を追加したものの、どれもいまいちの結果。

となると、それらで見事な成功を重ねてきたフェースブックをヤフーは敵対視しているのだろうか。アドバタイザーの取り合い、またユーザがサイトで過ごす時間という意味では、フェースブックは一番の強敵だと言える。2010年には90億ドルに上ったと言われるオンライン広告費、ヤフーは一位の座を保持したものの、シェアを2009年の16.5%から16.2%に落とした。一方のフェースブックは、7.3%から13.6%へと飛躍的に伸ばしている。

コムスコアによると、ユーザが各サイトで過ごした時間についてもヤフーは2010年に10%減少、そしてその最大の原因はフェースブックだと言う。

一方、ヤフーコンテンツの露出をいかに増やして、yahoo.comにトラフィックとユーザを呼び戻すかという意味では、ヤフーはフェースブックと仲良くしたい。特に数々の独自の「ソーシャル」プロダクトに失敗した今、フェースブックの「ソーシャル」機能の統合を積極的に進めている。すでにヤフーのネットワーク上でフェース ブックのアップデートが見られたり、ヤフー上にフェースブックの'like' や'share'機能も統合されている。

ではグーグルはどうか。グーグルはいまだにフェースブックを「敵」と見なして、独自のソーシャルプロダクトを開発している。ヤフーのようにはまだあきらめてはいないというところだろうか。

フェースブックが誕生した当初は友達とつながるプラットフォームということで検索エンジンは対して脅威に感じていなかった。だが、いまやフェースブックはそれだけのプラットフォームではなく、新たなサイトやコンテンツを発見する場になってきている。つまり検索エンジンが伝統的に得意としていたことを、もっとソーシャルな観点から実現しているのだ。検索エンジンとは、何か調べたいものがはっきりしているときにキーワードをタイプすると、探しているサイトへのリンクを表示してくれるもの。一方のフェースブックをはじめとしたソーシャルネットワークでは、特に何かを探しているわけではないが時間つぶしに面白いビデオだったり記事を読みたいときに、予想外のコンテンツを簡単に発掘できる場になっている。友達が面白いと思ったコンテンツを自分の友達にシェアする。それがどんどん広がって、ついでにコメントまでついて友達の友達にまでシェアされていく。先日のブログでも書いた"Tiger mom"の話は、そんな感じでどんどん広まっていった良い例だ。

検索サービスだけでなく、コンテンツを発見する場、という意味ではTwitterとかぶるところも多い。ただTwitterはマーケティングとかプロモーション的な目的で使われることが一般的に多いから、厳密にはターゲットとするコンテンツの内容は微妙に分けられるんだろうけど、それでも広い意味ではかぶっている。

では、検索エンジン以外はどうか。

ソーシャルゲームの一番手となったZyngaは、フェースブック上で伸びたゲームだからフェースブックに頭が上がらないんだろうけど、その分トラフィックやレベニュー・シェアでフェースブックにも十分代償を払っているから、お互いかけがえのない存在といったところだろう。

ところがZyngaにとっては、今後はその代償がますます大きくなっていきそうだ。というのも、フェースブックの最近の発表によると、今後アプリのディベロッパーはフェースブック専用の通貨を使うことを義務付けられ、その売り上げの30%をフェースブックが確保する。このフェースブック通貨、後には実際の通貨として実際のモノを売買できるようにもするとの噂も。となると、今度はPaypalやアマゾンの競合にもなりかねない。

最近フェースブックがリリースした、ロケーションに基づく「チェックイン」機能では、レビューサイトのYelp、日本でも話題のGrouponと真っ向から敵対することになる。

モバイルの世界、特にモバイル上の広告費という点では、アップルやグーグルとも思いっきり衝突する。

また最後に忘れてはならないのは、味方になろうが敵になろうが、避けられない熾烈な競争が待ち構えているということ。それは人材の確保だ。業界図が日々変化し続ける中、これは常に問題となり、すでに上に挙げたエリアを超えてもっと広く影響しているのだ。

2011年2月12日土曜日

携帯業界の世界的な拠点になりつつあるシリコンバレー

携帯電話メーカーと言えば、ノキアやソニーエリクソンのように本社がフィンランドやスウェーデンだったり、モトローラのように国内でもイリノイ州だったりと、シリコンバレーからはほど遠い場所に拠点を構える大手メーカーが多かった。

ところが来週ソニーエリクソンから発表される携帯は、はじめてシリコンバレーで開発された機種らしい。ちなみにこの新商品では、Playstationも楽しめるとのこと。

今まで携帯機器(ハードウェア)と言えばアジアやヨーロッパ発のものが多く、アメリカは追いつくのに精一杯だった。ところが最近このソニーエリクソンの話にも象徴されるように、携帯電話メーカーの地理的なリソース配分に変化が起きてきている。

今や携帯と言えば、ハードウェアの機能やデザイン性だけ売れる時代ではない。ソフトウェアの重要性は高まる一方で、その結果アプリ市場をリードしているシリコンバレーが必然的に携帯市場の拠点にもなりつつある。

では何故この地域か?アップルやグーグルがOS市場をリードしていることは言うまでもないが、ベンチャーキャピタルをはじめとした投資家の携帯分野に対する投資活動も活発になる一方だ。以前の投稿でも触れたように、Kleiner Perkins Caufield & Buyers が携帯のアプリ開発のためだけのファンドiFundに$200Mをつぎ込んでいるなんていう話もその動きを象徴している。そして結果的に、この地域でのアプリ開発のスタートアップの数も軒並み増えている。

IDCによると、今年スマートフォンの売り上げは全世界で39%の伸びを示し、それらの40%以上はシリコンバレーで開発されたOSを採用するという予想がでている。ということは、携帯関連事業者にとって、アップルやグーグルの近くで開発を行うことのメリットがますます大きくなってくる。

携帯業界の大手は(キャリア、ハードウェアともに)、すでにシリコンバレーにリソースを移し始めている。主な動きとしては、以下の通り。
  • モトローラは、2010年にサニーベルのオフィスの社員数を80%増やしている。
  • ソニーエリクソンが2007年に50人で開設した研究開発センターは、今や6倍にまで拡大している。
  • ノキアはすでにシリコンバレーのオフィスに500人の社員を抱えている。
  • アメリカの携帯キャリアT-Mobileは、マウンテンビューオフィスをいっきに拡大。
  • 今月からiphoneの販売を開始するVerizonも、サンノゼにアプリ開発センターを開く予定。
という各社の動きからも、携帯業界の垂直統合がシリコンバレーを中心に加速していくだろうことも予想される。

2011年2月9日水曜日

それでも買ってしまうアップル商品

今までAT&Tの独占状態だったiphoneの販売、今週からVerizonも売り出すことになった。2社の競争は加熱する一方だけど、その争いが加熱すればするほど得をするのはアップル。お互いが宣伝合戦を繰り広げれば広げるほど、アップルとiphoneの認知度は高まる。

アップルと言えば、最近ipadを使っていて改めて気づいたことがある。ipadとパソコン間のデータの移動がいかに困難かということだ。

iPadを格好良くすっきりと見せるためだろうか、AppleはUSBポートもSDカードスロットも付けていない。持ち運びできるパソコンと位置づけるなら、SDカードの写真を取り込んだり、ファイルをUSBメモリに移したりできるようにするべきだと思うけど。アダプターがあれば使えるけど、あくまでも有料。

デザイン性を重視したとも言えるけど、ある意味アップルの作戦のようでもある。つまりファイルとかアプリの共有を難しくすることで別デバイス間のリソース共有をしづらくして、デバイスごとにインストール、つまり購入することを促しているようだ。

ここでまた活躍したのが、以前のブログでも紹介したdropboxだ。

Dropboxは、無料で利用できるオンラインストレージサービスのひとつで、2Gまでは無料で、年間$99で50Gに拡張することができる。結局わたしもこれを使ってデータ移動の問題を解決した。

さて、話題になっている次世代のipadだが、SDカードスロット内蔵するけどUSBは引き続き搭載せず、とのこと。これらが初期バージョンで搭載されていなかった理由としては、デバイス間のデータ移行を妨げると同時に、次バージョンへのアップグレードする理由を確保しておくために出し惜しみしている作戦のようにも見える。フロントカメラだってユーザーからのニーズが高いだろうことは容易に想像つくけど、次バージョンまで待たせて買わせるという理由を採っておきたかったがために初期バージョンには搭載しなかったようなものだろう。

アップルのこういった態度は、アップルストアでの音楽がitunesでしか効けなかったり、iphoneのアプリの審査に異様に時間がかかったりするようなことからも、驚くことではない。冒頭のAT&TとVerizonの熾烈な競争だって、アップルがしかけたようなものだ。

ちなみにipadのケースをアップルストアで買ったら、40ドル。さすがアップル。もちろん包装の袋から箱まですべすべで格好良くて、捨てるのがもったいないほどだし(しっかりと取っておくことにした)、閉鎖的と文句を言いながら買ってしまうところが、消費者心理をしっかり掴んでいる勝者の証って感じだけど。

2011年2月1日火曜日

iphoneとstarbucksで、アメリカ版お財布携帯の先駆けを狙う

1月半ばに、パイロット版から本格版としてリリースされたスターバックスのiphoneアプリ。お財布携帯的に使えて、携帯電話でコーヒーが買えるというもの。メディアはしきりに騒いでいて、スタバの株価にどう影響するかなど盛り上がっていたけれど、いかに携帯を使った支払い機能において、アメリカが日本から遅れを取っているかの象徴のようだった。

このアプリの使い方だけど、まずはスターバックスのギフトカードとアカウントを持っていることが条件となる。スマートフォン上でアカウントにログインして注文をしたら、レジで携帯電話を渡す。バリスタがスキャナーに携帯を当てて、それで支払い完了。

話題性は十分あったものの、実用性としては「?」。そもそも日本と違ってアメリカはクレジットカード社会なので、カードでの支払いもそんな手間はかからない。3ドルとか5ドルだとサインも不要なので、店員がスキャンするのがクレジットカードからiphoneに変わったというだけ。となると、大した効率性向上にもつながらない気がする。

今後の他の使い方としても、日本のように公共交通機関が発達していれば販売機で切符を購入する手間が省けたりするけど、これまた車社会だからそれほどのインパクトもない。

にわとりと卵って感じだけど、それだからお財布携帯的機能が広まらないのかも。

ちなみにアップルとスターバックスと言えば、2008年にfree iTunes "Pick of the Week" を提供したり、このアプリについても昨年から一緒に開発してきてたりするなどで仲がいいので、今回はとりあえず目新しいものを出して話題作りを狙ったというところだろうか。

さて、支払いに話を戻すけど、コーヒーに毎日3ドル払っているとすると月に100ドル近い出費になる。節約への第一歩として真っ先に指摘されるコーヒー。クレジットカードの明細だとその他もろもろの出費にまぎれてしまって、コーヒーに対する出費だけの合計って把握しにくい。ところがこのアプリを使えばコーヒーにいくら使っているのか履歴もすぐにわかるようになる。スターバックスにとっては利便性と話題性を強調して売り上げ向上を狙っているんだろうけど、顧客に節約の必然性を再自覚させてしまって、コーヒー自粛傾向になったりといったマイナスの効果はないんだろうか?とふと思ったりする。

出費管理と言えば、最近使い始めたmint.comが結構使える。2005年に立ち上げ、2009年にQuickenやTurboTaxを持つ大手ソフトウェア会社Intuitに買収されたこのmint.comだが、口座やクレジットカード情報をすべて登録することによって日々の入金・出費管理をしてくれる。自分で予算設定をしておけば、それを超えた場合にアラームを出してくれたり、出費の内訳をカテゴリー別に管理してくれるので、それこそコーヒーに今月いくら使ったかなどが一目でわかる。セキュリティの面で懸念が多く、わたしも今まで使う気になれなかったけど、周りで使っている人たちが多いことと、大手企業に買収された変な安心感もあって、使い始めたという経緯だ。

話がいったりきたりになってしまったが、お財布携帯的な機能がこっちでもっと盛り上がって各社が似たようなアプリを出し始めると、すべてにまたがって(例えばスタバ、ウォールマート、サブウェイなど)カテゴリ的な出費管理ができるmintのようなアプリがはやるだろう。