2013年9月5日木曜日

人気ショップになるとサイトから追い出される?という皮肉な矛盾をどう解決するか。Etsyの新たな挑戦。


アメリカ国外でもじょじょに名前が浸透しつつある、手作りクラフト品やヴィンテージ品を売買するEtsy(エッツィーと読む)というサイトがある。

アート、手芸品、工芸品などを世界中の幅広いユーザーに売りたいアマチュア・アーティストのためのマーケットプレースとして、2005年のサービスローンチ。今や3000万人の登録メンバーと、100万店舗を抱える巨大サイトにまで成長した。

キーワードは「ハンドメイド(手作り)」で、趣味として主婦が手作りするアクセサリーから、駆け出しのアーティストの作品まで、個人の手に寄って作られた手作り品を売買する場を提供している。一見ニッチかと思われがちだが、ユニークなギフトやアクセサリー、また、自分でコーディネートする結婚式の小物(結婚式場の装飾、引き出物からブーケやドレスまで)などを買う場として、今やメインストリームなユーザーの中でも認知度は高い。

成功したサイトやビジネスモデルにつきものなコピー版。Etsyも例外ではない。Etsyの場合は強いコミュニティーの上に成り立っているため、サイト自体のコピーは簡単ではないものの、そこで売られている商品のコピーは問題になってきている。さらに、先日の記事によると、「手作り」の定義が会社のそもそものミッション・ビジョンを揺らがしている。

人気商品を他社業者がコピーして販売するというのは、容易に予想できる課題だったが、Etsyが直面する課題はもっと奥が深い。会社の基盤であり、強いコミュニティーを支えてきた、「手作り」の概念とその定義だ。つまり、どこまで手作りだったら許容されるのか、すべてをオーナー一人の手で作らないといけないのか。

というのも、今まできちんとポリシーに乗っ取って運営してものの、注文が殺到したために生産が追いつかなくなり、外注せざるを得なくなる個人アーティストも増えているという。人気が出たが故に一人で生産できなくなって、その結果サイトから追い出されるなんて、皮肉なことだ。2011年にEtsyはポリシーの緩和をはかり、今ではデザインがオリジナルであれば、生産において多少の外注を許可している。

ただ、そんな曖昧な「手作り」という定義をつけ込んで、中国などからアクセサリーなどの商品を大量に格安で仕入れ、Etsy上で「手作り」として売っているショップも増えてきているようだ。仕入れ価格とサイト上での売値を比較すると、3000%近い利益を確保している例も少なくないという。

同じようなデザインが、中国のアリババのようなサイトで売られているケースも多く見つかっている。強いコミュニティーのメンバーによって常時モニタリングされているものの、すべてのコピーを世界中のサイトから摘出するのはほぼ不可能だ。

人気が出たがためのチャレンジに直面するEtsyだが、この問題は今後の成長とともにさらに大きくなる一方だろう。

成長に伴ってポリシーを柔軟に緩和する必要があると同時に、成長した個人ショップが「卒業」する先の別ブランド/サイトを立ち上げるのも手かもしれない。

一方で、コピー商品を世界中からなくすのは、ほぼ不可能。救いなのが、アリババのようなサイトが株式上場に備えてコピー商品の取り締まりを厳しくしてきている、という点くらい。その効力もどこまで続くのかは疑問だったりする。コピーされる側でなくてコピーする側の意識がきちんと更正されるまでは、残念ながらこの追いかけっこは当分終わらないだろう。

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