2013年11月7日木曜日

スタートアップがサンフランシスコに移る流れが止まらない一方で、大企業はサウスベイで次々とキャンパスを拡大。


先月末、アップル社が本社を構えるクパチーノ市が、アップルが提案する新しいキャンパスの設立を承認した。最終的な承認は今月の会議をもって「公式」となる予定だが、実質的なゴーサインは出たも同然だ。

このキャンパスは24,000人の社員を収容し、グリーンなキャンパスとなることを目指している。環境へのインパクトがイーブンアウトする(プラスマイナスの影響がゼロとなる)ようにデザインされていて、一企業のレベルでは世界で最大の一つとなるソーラーシステムを持つことになる。ナチュラル・ヒーティングとクーリングによって、一年の70パーセントは冷房が不要となるというのも売りらしい。

一方、ライバルであるサムソンは、クバチーノに隣接するサンノゼ市に巨大キャンパスを設立する計画を着々と進めている。300ミリオンドルをかけ、こちらも負けずとオープンでグリーンなキャンパスを目指している。

ちなみに新設とか移転とか言うと、サンフランシスコに拠点を持つアメリカン・フットボールチームのサンフランシスコ・フォーティーナイナーズもホームスタジアムをサンフランシスコから、南のサンタクララに移転することが決まっている。来年2014年のシーズンに間に合うように、新しいスタジアムの建設が着々と進んでいる。

主に会社が拠点として選ぶ場所として、サンフランシスコがアツいという話をずっとしてきたけど、これらの例からもわかるように、サウスベイの活性化を示唆する計画も次々と発表されている。スタートアップがサンフランシスコに戻ってきている一方で、大手企業のサウスベイでの拡大は留まることを知らない。

前回のブログの、IPOが不動産に与える影響と多少関連した話になるが、これだけの規模のキャンパス建築や拡大も、その社員や家族を超えて、周辺経済にさまざまな影響をもたらす。

49ersの移転先となるサンタクララでも、すでに周辺経済への影響の計算が始まっている。周辺の小売業、レストラン、スタジアムでの雇用を含めて、大きな経済効果が見込まれるのは容易に想像できるだろう。

期待される経済効果とは逆に、周辺住民の不安の種となっているのがトラフィックだ。残念ながらシリコンバレーでは公共機関が発達する兆しがまったく見られないので、電車を増やすとか公共機関を見直すと言っても、結局は車への高い依存度は当分変わらないだろう。通勤社員が増える上に試合がある日なんかには、周辺道路の渋滞がますますひどくなることが予想される。不況時にはハイウェイの混雑が解消され、景気が良くなると悩まされるから、トラフィックは皮肉なものだ。

一方、現在の49ersのスタジアムがあるサウス・サンフランシスコは複雑な心境だ。スタジアム移転を悲しむ地元ファンと周辺ビジネスがある一方で、トラフィック問題が解消するとして喜ぶ周辺住民もいる。

0 件のコメント: