2010年12月11日土曜日

グーグルの参入でさらに活気づくebook業界

アマゾンのkindleが3分の2のマーケットシェアを占めているebook市場だが、クリスマス商戦を目前に控えた今週、アマゾンとグーグルがそろってウェブベースでのebookストアのリリースを発表した。

グーグルは「google books」と名でウェブベースでのebookストアを今年内に始める一方で、アマゾンもkindle以外の他のデバイスやウェブブラウザ上で読める、ebookコンテンツのリリースを発表。Androidやiphone 用には無料のアプリも提供される。

今までのebook利用では、デバイスの購入が大きな壁となっていた。アマゾンのkindleだったり、Barnes & Nobleの Nook、 Apple ipad、Android ベースのタブレットなど、指定されたデバイスを購入して始めてebookが読めたからだ。今回のウェブベースのサービス開始によって、iPad、iPod touch、iPhone、Mac、PC、BlackBerry、Androidベースのデバイス、 そしてウェブブラウザが立ち上がる環境ならどこでも本が読めるようになる。

ではアマゾンとグーグルの違いは?大きな違いの一つは、アマゾンでは第3者である出版社、作者、ブロガーなどがebookコンテンツを自分のサイトから直接売って、アフィリエート代を稼ぐことができるという点。一方のグーグルは第3者がコンテンツを売るというモデルがまだできていない。

購入可能な本の数だが、アマゾンでは75万冊の本がダウンロード可能、一方のグーグルは2004年以来、Google books projectのもとで今までに1千5百万冊の本をすでにデジタル化している。最終的には1億5千万冊まで増やすというから、現在の10倍を目指していることになる。1千5百万冊のうち300万冊については売る権利を持っていて、うち200万冊は無料(著作権がすでに無効になったりしているもの)、そして近いうちに数十万冊が購入可能になるという。

ウェブベースになることによるユーザへの利点としては、特定のデバイスを購入する必要がなくなるだけではない。コンテンツの値段自体も下げられる可能性がある。伝統的な本のビジネスだと紙代とか印刷代とか流通にかかるコストなど、削減しようのないコストがいくつも発生してくるが、ウェブベースであればそのほとんどのコストは無関係となる。もちろん作者への支払い分など削減できない部分もあるし、サーバーとかサイトのメンテナンスコストとか他の種のコストが発生してくるものの、直感的にコスト全体は押さえられると想像できる。

また、オンラインで本を購入することによって、そのユーザの購入履歴をトラックすることができる。その人がどんな本が好きだとか友達がどんな本を推薦しているかっていうのは、貴重なユーザのデータとなる。そのデータを利用してより各ユーザに関連性の高い広告を提供したり、本のコンテンツそのものの中に広告を埋め込むこともできるというのだ。つまり、より関連性の高い広告を提供することによって広告収入の増加、そして結果的にコンテンツ自体の値段を下げられる可能性がある。

となると1冊10ドル(アマゾン、グーグルともに10ドル近辺が多い)という単価はまだそれでも高いのでは?という声も。出版社や作者側からすると物理的な本に比べてどんどん下がるebookの値段に対する抵抗は留まらないが、kindle経由で読む場合とウェブベース読む場合に値段が同じだというのはちょっと不思議な気がする。

kindle経由でしか読めなかったときには、ハードウェアコストの一部を肩代わりするためにソフトウェアでも余分に課金しないといけないとか、コンテンツを提供するための無料のワイヤレスのコストをどこかでカバーしなければいけなかった。ただウェブベースになった途端、それらのコストは一切発生しなくなるわけだから、それにも関わらず値段が変わらないというのはおかしいのでは?という声も。

今年デジタルブック市場の売り上げは966億円にのぼり、デバイスの数量としては1千5百万個が売れたという。激しくなる競争とともに、2011年にはますます伸びる市場の一つであることは間違いない。また、そのコスト構造も競争が激しくなると同時にどんどん進化していくだろう。

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