2013年3月2日土曜日

ゲーム・アプリも教育のためだったら良し?

英語で「toddler」とか「Preschooler」と言うと、赤ちゃんでもなく幼稚園児でもなく、よちよち歩きの2歳から4歳くらいの幼児のことを指す。言葉を話し始め、指示を理解するようになり、何事にも興味を示して好奇心旺盛になってくる年頃だ。この幼児をターゲットにしたスマートフォン、タブレットの「教育」アプリ開発が注目を集めている。

子供向けゲームと言えば拒否反応を示す親が多いが、現実的には今の社会と環境でゲームやスマートフォン、タブレットから子供を完全に切り離すことはもはやできない。親である大人が片時も携帯やタブレットを離せない生活になってしまった以上、家族の時間からそれを排除するのはどんどん難しくなっている。家庭内での使用を禁止しても、友達の家に行けばみんなタブレットで遊んでいる。だとしたら、どうやって最適コンテンツを選別し、子供がそれらのデバイスに触れている時間を最大限に活かすことができるか?というのが次の課題になってくる。

ちなみにアメリカのリサーチ会社NPD Groupの発表によれば、北米の2歳〜17歳のうち、91%はゲームを楽しんでいるという。

アメリカで人気がある幼児向けゲームと言えば、Angry Birds(教育という分野には属さないが)やディズニー、ThupのMonkey Preschool Lunchbox, Duck Duck MooseのWheels on the Busなど、大手からスタートアップが広く混在している。

また、Leapfrogのように幼児向けのおもちゃで大手の会社も、独自のデバイスをローンチするなどしてバーチャルな世界に参入しようとしている。

この分野での日本とアメリカの違いは何か。アメリカの方が有料のものが多い印象を受ける。一方で日本のアプリは、無料(少なくともデフォルトでダウンロードされる限定された機能については)にしているものが多いように見られる。つまり、アメリカの消費者の方がそれらのゲームに対してお金を出す価値を見いだしているのかもしれない。無料のものには広告が伴うのがお約束だが、広告というのは当然利用者の目を引きやすいようにデザインされていて、直感的に反応する子供は特に目が奪われやすい。さらに問題なのは広告の質で、日本のいくつかのアプリを使ってみると、まったく無関連もしくは不適切な大人向けの広告が出てきたりするのだ。

それだったら1ドルや2ドル出した方が良い、というのには同感できる。

アメリカでのこの手のアプリの一番の使い道はロードトリップでの車中。日々の通勤でも、週末の気軽な旅行にしても、この車社会では、数時間から一日近くかけてドライブすることは少なくない。飽きやすい子供相手(特に幼児)を歌や読書で30分以上エンターテインするというのは、不可能に近い。

子連れで飛行機で乗るときにも、必需品となっている。

先日外食に行ってある光景にびっくりした。同じレストラン内に大人子供含めて10人を超える大きなグループがディナーをしていたのだが、幼児を含めて子供たちは一人一台iPadを持ち、全員が下をうつむいてそれぞれのゲームに没頭している。一方の大人たちは、リラックスした様子でワインとおしゃべりを楽しんでいる。

そういった食事時の光景には賛否両論あるが、たまには騒ぐ子供を静まらせながら肩身の狭い思いをしないで、ゆっくりと会話を楽しみながら外食したいというのが親たちの本音だろう。

どんな統計値よりも、幼児・子供向けアプリの今後の可能性を印象づける象徴的な光景だった。

0 件のコメント: