2011年1月27日木曜日

外国人が日本でベンチャーを成功させる秘訣

"How to Create a Successful Startup in Japan: In 10 Easy Steps!"(日本でベンチャーを成功させる10のステップ)という面白いブログ記事があったので、紹介したい。

それによると、10のステップとは以下の通り。

1. Know what a startup is
日本でいわゆる「ベンチャー」を始めるのは一大事だということを良く把握する。シリコンバレーでベンチャーを始めるほど気軽なことではなく、とてつもなく 「おおごと」で「普通じゃない」ということ。文化的に根付いていないし成功例も少ないので、世間、家族、政治などの面でサポートを受けにくい。

2. Have a relevant reason for being in Japan, and always evaluate location
日本でないと駄目な理由がしっかりあること。日本人ユーザのニーズをしっかり把握して、この国ならではの問題とビジネスチャンスがあることを再確認する。日本は、シリコンバレーのように、決してベンチャーをはじめるために来る地ではない!

3. Use the culture, learn the language
日本の便利さ(コンビニが代表例)サービスレベルの高さ、故にユーザーが期待するサービスレベルの高さがアメリカと比較して異様に高い。つまりそれだけ働く人の意識も高く、一番のサービスと製品を提供しようと意気込みが強い。
日本で始めるからにはそういう文化と意識をうまく取り入れること、そしてそれを自社のアドバンテージにすること。そういう意識が初期から根付かせておくと、後々の文化の基盤となって、大きなアドバンテージになる。

4. Learn to straddle timezones
これは当たり前のことだけど、時差に慣れること。アメリカとの電話会議は朝一番、ヨーロッパとの電話会議は一日の終わりに。

5. Don’t worry about the local economy
日本経済の落ち込みを気にしないこと。人口減とか政治腐敗とかいろいろと暗いニュースが多いけど、その手の懸念はベンチャー成功要因の0.5%にも満たない。

6. Figure out how to raise money
資金調達については、シリコンバレーは例外だということを良く認識すること。シリコンバレーを一歩出た途端、資金調達は一層困難になることを自覚しておくこと。日本も例外ではないので、シリコンバレーで投資家を探す活動を怠らない。少なくとも初期の資金調達もとをアメリカで見つけておくことは大きなプラス。

7. Create a hiring strategy
日本での採用については、適任の人材があまりいないという意味で困難だけど、競争が少ないという点では有利。良い人材の確保は難しいけど不可能じゃない。また、難しいくらいでないと、良い人材を採れていないという証拠。

8. Consider creating a US entity
日本国外に法人を設けること。これはアメリカからの投資を集めやすいという点に加えて、日本国外で契約社員を雇う場合や、仕事を外注する際に有利となる。日本法人で雇われている場合、所得税の報告などが複雑になるため、多くの外国人は嫌がるため。

9. Focus
シリコンバレーのように、ネットワーキングの機会が頻繁にあるわけではないので、日本にいるとき、アメリカにいるときの時間をしっかりと使い分ける。日本 にいるときはプロダクトを作ることに集中し、アメリカでの出張時にはネットワーキングと資金調達に集中する、というように。

10. Profit!
ビジネスである限り、利益を出さないことには始まらない。日本では一般的に成熟したベンチャーよりも、初期フェーズのベンチャーの買収が多い。また売り上げが少ない段階での上場も比較的やりやすい。ゴールを念頭に置くこと。

これを読んだ上で何点か個人的な感想を追加。

まずカギとなるのは、いかにローカルにとけ込むかだと思う。これはユーザのニーズを把握するというだけでなく、採用の面でも大きなアドバンテージになるはず。日本に住む外国人は社交範囲が駐在員コミュニティに留まるケースが多いけど、それだけだとそれを通してつながる日本人の数も価値観も限られるので、特に良い人材を確保するという点ではそれを超えたネットワークを持っていることが大事だと思う。

また採用に関して追加すると、流暢に英語が話せるということを必須条件としないこと。もちろんスタートアップのフェーズによるけど、数人の枠を超えたら、英語が超堪能でなくてもいいと思う。日本って、英語が話せるということを条件に入れた途端にいきなり候補者が激減してしまう傾向があるけど(少なくとも10年前くらいはそうだったので、今もその状況は劇的には変わっていないはず)、逆に言うとその制限を除いただけで優秀な人材が確保しやすくなる。

これまた採用にも関わる点で、世界どこでも共通する話だと思うけど、優秀な大学とのコネをうまく作ること。例えば在学生や最近の卒業生が知り合いにいると、優秀な学生を紹介してもらってバ イトやインターンとして活躍してもらうことができる。慶応SFCなど特定の大学/学部は例外としても、日本の学生はベンチャーに興味がないのではなくて、きっかけがないだけなんだと思う。だからコネを通して紹介されれば、興味を持ってくれる学生は多くいるはず。物理的に、大学の近くにオフィスを構えるというのも効果的かも。

そして最後に、地方にも注目すること。東京はもちろん潜在的な良い人材がいっぱいいるけど、それだけ競争も激しい。地方にいけば競争は少ないけど良い大学や優秀な学生もいっぱいいる。物理的には東京にオフィスを構える場合でも(そのメリットは十分あるので)、今やネットの時代、リモートでプログラムを書いてもらうことも可能だろう。

以上、優秀な人材の確保に関する点ばかりになってしまったが、それもわたし個人的に、ベンチャーは人が一番大事であり、優秀な人材の確保が一番のチャレンジだと思うので。これってどの国のベンチャーにも共通して言えることだろう。もし2つのオプション、1) 優秀な人材とそこそこのビジネスアイディア、もしくは、2) 先進的なビジネスアイディアとそこそこの人材、からベンチャーの成功率が高い方を選ぶとしたら、正解は1)だと言われる。

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