2009年6月14日日曜日

マラソンブームは日本だけじゃない!シリコンバレーにはリッチなランナーが多かった

遅ればせながら、つい最近日本のランニングブームについて知った。今まで運動と言えば、ヨガくらいしかしていなかった友達さえ、「皇居の周りを走っている」とか「東京マラソンの抽選に漏れた〜」と悔しがっているので何ごとかと思ったら、実は全国的なブームだったんですね。

確かに今までファッションとレストラン情報が中心だった女性向けのウェブサイトを見ても、「 うしろ姿も手を抜かない! 褒められRUNファッション」とか、「女性らしく華やかに。上半身は色使いが決め手」とか、スポーツが目的でありながらファッション化している様子が伺える。

ブームのきっかけは2007年に始まった東京マラソンとのことだが、その東京マラソン、今年は35,000人の定員に対して、 261,981人の応募があったと言う(10K含む)。昨年からしても68%の伸びという、驚異的な倍率。

各スポーツメーカも、このブームを利用しない手はない。ランニング専門店をオープンしてランニングウェアのラインナップを充実させたり、雑誌で特集を組んだり、また定期的に練習会を企画しているらしい。ランニングスカート?という新たな市場の開拓に代表されるように、ビジネスチャンスを逃さないというところがいかにも日本らしい!(いまだに実物を見たことのなく、テニス用のスコートとの違いがいまいちわかっていませんが。。。)

いずれにしても、東京がランニングによって活性化して、かつビジネス的にも新たなマーケットが確立して、その上みんな健康になるのであれば、それに超したことはない。

一方海外では、ホノルルマラソンとかニューヨークシティマラソンとか、ボストンマラソンとか、数万人規模の代表的なマラソン大会は数多くあり、歴史も長い。ここサンフランシスコでもランニング文化は広く浸透していて、街のそこらじゅうをランナーが駆け巡っている。とにかくランナーと犬が多い街だ。特に日曜朝のサンフランシスコは極端。そもそも早起きしているのは、ジョギングしている人、ヨガに行く人、そして犬の散歩をしている人くらいだとも言える。つまり週末朝のサンフランシスコは、ランナー、ヨガマットを肩にかけたベジタリアンっぽい細身の女性たち、それから犬の散歩をする飼い主がほぼ大半を占めていると言っても大げさではない。

しかもこのエリアには、ハードコアなランナーがやたらと多い。湾沿いのマリーナと呼ばれるエリアはゴールデンゲートが見える絶景のランニングコースだということもあり、ランニング用に設計された乳母車に赤ちゃんを載せて押しながら走るママランナー、犬と一緒に走るランナー、サンフランシスコ特有の急な坂を駆け上っては下り、また駆け上るという体育会系なノリの年配ランナーたちが結構いるのだ。

友達や同僚と話していても、ジョギングやマラソンの浸透率を実感する。ジョギング、という軽いノリではなく、ハーフマラソンはもちろんのこと、フルマラソン、さらにはトライアスロンの経験者も結構いるのだ(しかも女性も多い!)

そこで全米、カリフォルニア、そしてシリコンバレー〜サンフランシスコにかけた地域、いわゆる「ベイエリア」のマラソン人口は果たしてどれくらいなのか、調べてみた。

まずは全米規模のデータから。



ロードレースを完走した人口の推移を見ると、年々着実に増加の一途をたどっている(ロードレースとは、5キロからフルマラソン、市民大会からオリンピックまで、公式タイムの出るレースは何でも含まれる)。2007年のデータだとほぼ900万人。データがないために残念ながら未確認だが、同じ伸び率が適用されると仮定すれば、2009年には1000万人は超えていてもおかしくない。

では次に、主要都市レベルでのデータ。以下のグラフは、アメリカの主要都市の中で「ランナー」の比率が高い都市のランキングになっている。これによると、 San Francisco /Oakland/San Joseを含むベイエリアは、第一位。一年を通して天気は良く湿気も低く、また健康志向が強いことを考えれば、納得のいく結果だ。



でも「ランナー」の定義って?そんな疑問に答えるべく、「ランナー」という曖昧な定義を「マラソン完走者」という明確な定義に置き換えた、各市の全人口に対するマラソン完走者の比率ランキングを紹介。すると予想に反して、カリフォルニアの市が一気にランキングから消える。前述のグラフ2よりももっと細かい「市」レベルで集計しているランキングなので一概にグラフ2と比較することはできないが、それにしてもベイエリアどころかカリフォルニアの中でもランクインした都市は Irvineのみ、という散々な結果だ。



ここでこのデータの提供者は、マラソン完走者率と各市の相関性を調べている。まずは公園の数を調べたが、何の相関性も見つからず。次に人口密度に目をつけたが、 これも失敗。人口密度の高い市も低い市も、ともに完走者数トップに名をあげているのだ。

彼がいろいろな角度から分析した結果、ようやく見つけた法則はマラソン完走者数と住民の職業分布との相関性だった。管理職、プロフェッショナル(専門職)、つまり高学歴なエリートサラリーマンたちが多い市で、高いマラソン完走者率が見られたのだ。高い生活水準と安定した経済力がマラソン完走者率のカギだった、ということになる。
となるとベイエリアは典型的なランナーの街として、ランキングに名を連ねそうだけど、何故グラフ3からは漏れているのか??その答えとなる別のランキングを見つけた。

以下のグラフは、市ごとの平均マラソン完走タイムのワースト10だ。このタイムが遅い市ほど、トレーニングを積み重ねたエリートランナーが少なく、初級者ランナーの比率が多いということになる。見ておわかりのように、何とすべてカリフォルニアの市で占められているのだ!



以上の複数のデータを合わせると、カリフォルニア、特にベイエリアは初心者を含めて、走るという習慣がより広く浸透しているということになる。マラソンでタイムを競うようないわゆる「エリートランナー」という観点では、全米トップ10にかすりもしないが、ゆるい定義の「ランナー」の比率では全米一。つまりランニングの敷居が低く、誰でも挑戦できるという環境と文化を作り出しているということになる。

さらに、前述のランニングと職業分布の相関性からも、ベイエリアのランナー数が多いのは納得がいく。健康志向が高いことに加え、ストレス発散の効果も期待されるランニングは、ハイテクエリアに住むエリートたちに最適な趣味であり、息抜きになっているのだ。シリコンバレーで数多く生まれるサクセスストーリーの秘訣はランニング?にあるのかも。

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