2009年3月9日月曜日

恐るべしTwitter

ここ半年ほどで良く名前を聞くようになったTwitter。再び名前を聞くようになった、という方が正確かもしれない。ここシリコンバレーでは、スタートアップがメディアやブログで騒がれるサイクルがあるように見える。それは純粋に企業が伸びている場合や画期的なサービスを出した場合もあれば、買収の話が持ち上がったためだったり、もしくは投資しているベンチャーキャピタルが何か仕掛けているのでは?と思わざるを得ない場合もある。つまり口コミの仕掛人がいるように思えることが結構あるのだ。というのも、特にサービスが変わったわけでもないし買収の話があったわけでもないのに、いきなりメディアのカバーが増えるケースをたまに見かけるので。Twitterの場合、去年後半から今年始めにかけて、このすべてが一度に起こった印象がある。

2006年にアメリカでサービス開始、日本でも去年サービスが始まったようだが、サービスはいたってシンプルだ。'What are you doing?'という質問に答える形式のアップデートを送り合うサービスになっている。そのアップデート(通称tweetsと呼ばれる)は誰が読むのかというと、自分の友達だったり見ず知らずの人に一斉にブロードキャストされる。逆に誰のアップデートでも受け取れる。一言で言うと、'real-time message broadcasting system that goes beyond members’ 。似たものとしては、フェースブックのアップデート機能があるが、これはお互いに友達の輪に入っていないとアップデートが受け取れない(ただ最近この規制もなくなった)が、Twitterでは友達ではない大統領オバマからもアップデートが受け取れてしまう。ウェブ経由、テキストメッセージ、インスタントメッセージの3形式でアップデートが送れるので、モバイルから今何を食べているとか、今誰と会ってるとか女子高生のノリなメッセージを送り合える。実際日本にある似たようなサービスはその手の用途の大半らしいが、このTwitter、アメリカでは政治界や芸能界での影響力をどんどん強めているようだ。

というのも、去年の選挙戦をきっかけに、Barack Obama、Hillary Clintonをはじめ、多様な顔ぶれの政治家がTweetsを送りまくっている。有名人では、Britney Spears、Lance Armstrongなど。彼らにとってはマーケティングツールであると同時に、(特に政治家にとっては)それ以上に若者層を理解しているというメッセージを送る効果が大きい。実際、選挙戦中はもっぱらObamaのブラックベリー対McCainのアナログさが話題になっていたように、政治家にとって若者層との距離を縮めることは常に挑戦なんだろう(麻生総理の漫画オタク宣言もその努力の一つ)。例えばObamaの勝利が確定した翌日のメッセージ:We just made history. All of this happened because you gave your time, talent and passion. All of this happened because of you. Thanks。また個人だけではなく、企業が公式アカウントを持って、新製品の情報発信などを消費者に送る手段としても急激に伸びている。主な企業としては、シスコ、サンマイクロシステムズ、IBM, WholeFoodsなど。雑誌のTimeがニュースを配信していたり、NASAが火星での新発見について情報を配信するなど、いまや高校生のチャット機能を超えたとてつもないパワーを持ち始めている。

もう一つの利用方法としては、ちょっと大げさに聞こえるかもしれないが、世の中のニュースやはやりごとのスナップショットが見えてしまう。何百人という人たちが今何に興味を持っていてどういうトピックスについて情報を配信し合っているかというキーワードベースのトレンドが見れるようになっているので、それを見るとある意味今起こっている出来事のサマリーが見えてくる。しかもオンラインニュースや検索サービスで探すよりも早かったりする。メディアは数人の記者が情報を集めるまで記事にならない一方で、Twitterは何百人のユーザが全員記者のように情報提供できるのだ。

それ以外にTwitterがやたらと騒がれるようになったわけ、それはフェースブックからの買収提案。去年500 million(USドル)をオファーされたが、それを拒否。そんな中今年の2月、第3ラウンドのファンディングをクローズしたと発表。35 million (USドル)以上を集めたとのことです。この不景気の影響で投資を集めるのがどんどん難しくなっている中、このニュースで周囲はまた「これは何かあるのでは」とさらに騒ぎ立てたのだ。

では実際にどれくらい伸びたのか。Twitterにとって、2008年後半が大躍進の期間だった。2008年当初は50万人だったユニークユーザが2008年11月と12月には各月100万人以上増加したらしい。結果的に2007年12月時点と2008年12月時点のユーザ数を比較すると、752%の成長率を見せている。絶対数としてはまだまだfacebookやmyspaceに及ばないが、成長率でははるかにうわまった。

そう言えば最近ロスで熱い夜食と言えば韓国風タコス(韓国風焼き肉をタコスと同じ生地で包んだもの)!毎晩夜遊びや飲み帰りの若者に大人気らしい。この屋台Kogi(http://kogibbq.com/)もTwitter経由で人気が出たらしい。数ヶ月で口コミが広がり、今日どこに出店するかなどの情報もTwitterで配信されている。セレブや大企業だけでなく、アントレプレナーが低予算で(ていうかほぼ無料)口コミを仕掛けるには最適な手段かもしれない。毎日変わる出店場所も、もちろんTwitterで更新されている。

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