2013年8月9日金曜日

サンフランシスコがあらたなシリコンバレーだということが、ますます顕著になってきた


今日は2年ほど前に書いた内容を、再度考察してみたい。「シリコンバレー日記」というブログ名の原点に戻って、「シリコンバレー」とは一体どこを指すのか?ということ。2年前の記事では、シリコンバレーの拠点が南から徐々にサンフランシスコに移りつつあるという話をしたが、その傾向が一層顕著になってきている。

一昔前のシリコンバレーと言えば、eBay、ヤフー、グーグル、フェースブックなどに代表されるサニーベル、マウンテンビュー、パロアルトなどサンフランシスコから車で1〜1.5時間ほど南に位置する郊外の街を指す代名詞のようなものだったが、最近の傾向を見るとその定義自体が変わってきているのが良くわかる。話題になった最近のスタートアップを見てみると(今やスタートアップではないが、かつてのスタートアップも含めて)、例えばTwitter、Pinterest、Zyngaなどはすべてサンフランシスコに拠点をもうけている。それ以外にも数多くのスタートアップや新しいビジネスがサンフランシスコから発信されたり、サウスベイからサンフランシスコに拠点を移しているのを目の当たりにし、みんな何となくそれは感覚的にわかっていた。ふと気づけば、ここ最近このブログで取り上げた会社も、ほとんどがサンフランシスコを拠点としている。Uber, AirBnB, Pinterestなどなど。Pinterestはパロアルトで始まった会社だが、成長とともに拠点をサンフランシスコに移している。

数年前は何となく定量化する程度だったが、今回はそれを決定的にするデータを見つけたので、紹介したい。

その記事というのは、こちら

まず下の2つの地図だが、ベンチャーキャピタルの投資額とベンチャーキャピタルによるディール数の分散を示している。サンフランシスコが位置する左上の丸が飛び抜けて大きく、続いてその南部を中心に点が分散しているのがわかる。次に密集している南部のエリアはマウンテンビュー、パロアルト近辺にあたるが、規サンフランシスコの規模と比較すると桁違いなのが一目瞭然だ。





一方、下の表は郵便番号ごとのベンチャーキャピタルによる投資額のランキングだ。トップ2はいずれもサンフランシスコで、5位にもサンフランシスコ市内の郵便番号がランク入りしている。その他はやり強いのは、グーグルが拠点を構えるマウンテンビューや、スタンフォード大学のあるパロアルト、そしてそのやや北(サンフランシスコ寄り)に位置するレッドウッドシティーだ。

続いて次の表は、市別のベンチャーキャピタルの投資額のランキングだ。郵便番号ごとのブレイクダウンで見るよりもストレートに、サンフランシスコでのベンチャーキャピタルの活動が飛び抜けて活発なことが一目でわかる。


もう一つの指標としては、サンフランシスコのオフィススペースの高騰化があげられる。わたし自身もサンフランシスコのオフィススペースを探した経験があり、オーナーがかなり強気な条件を突きつけてきたのを覚えている。一番驚いたのは、会社の財政状態を見る以前に、特定の業種には貸さないというポリシーを突きつけてきたオーナー。ソーシャルゲーム会社のZynga(ジンガ)に関する悪評が不動産関係者に広まりゲーム会社には物件をリースするなという警告が流れたというのが背景らしかった。噂によると、ジンガはリースで規定された以上の社員数を詰め込み、その結果物件の良いコンディションを守れなかったというようなことらしい。
ただし、サンフランシスコに会社を構える会社でもその多くは、サウスベイやイーストベイからの公共機関での交通の便を考えたオフィス選びをする。サンフランシスコに拠点を置いて若いエンジニアやアーティストをリクルートする傍ら、いまだにエンジニアに好まれるとされる(特に比較的年齢が上で、家族持ちのエンジニア)サウスベイからも有能なタレントをリクルーティングしたいという意向の現れだ。

つまりリクルーティングは引き続き大きな課題で(それどころか、ますます困難になる一方だ)、有能な人材に最大限アクセスできる立地条件、というのが多くの会社にとっての最優先の条件なんだろう。

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