2013年2月12日火曜日

2013年のPinterest。このままの勢いを続けられるのか、もしくは昨年のInstagramのように失速してしまうのか。


先日ファッションとシリコンバレーという記事を書いたが、そこであまり触れなかったPinterestについて。画像を使ったSNSということで去年から一気に注目を浴びるようになった。それもそのはず、ユーザ数とトラフィックが急激な伸びを見せて、特に小売り業や大手ブランドではないサイトへの大きなトラフィックの原動力となってきている。

仕組みはフェースブックやTwitterの’いいね!’や’retweet'と似ていているが、ユニークなのはその対象コンテンツが画像ということだ。ウェブブラウジングをしていて気に入った洋服、写真、家具、その他何でもイメージがあれば、’Pin'して自分独自のオンラインのスクラップブックを作る('board'と呼ぶ)。それを他の人に公開すると同時に、他の人のスクラップブックをフォローすることもできるので、友達、同じ趣味を持つ人、また、会社がオフィシャルに立ち上げたアカウントをフォローして、最新商品やコーディネート例を参考にしたりできる。家のインテリアデコレーションの検討、結婚式のプランニングをするときのアイディア集めなど、画像やイメージでの情報集めが威力を発揮するケースで、特に好んで使われているようだ。

Nielsenのレポートによると、今までのFacebook, Twitter, Linkedinというソーシャルサイトのビッグ3に、2012年にはPinterestがビッグ4として名乗りをあげた。2012年にもっとも伸びを示したのがPinterestだからだ。

ユニークPCユーザ数で1,047%の伸びを記録。ちなみに第2位はGoogle Plusで80%だったから、いかに飛び向けた数値かがわかるだろう。モバイルアプリのユニークユーザ数は1,698%、モバイルウェブのユニークユーザ数は4,225%という、驚異的な伸びを示した。ちなみにモバイルアプリの第二位はTwitterで134%、モバイルウェブはRedditで153%と桁違いで引き離している。

ソーシャルサイトにとっては、多くの人がサイトを訪れることは重要だが、各ユーザのエンゲージメントは同様に成功のカギとなる。そのエンゲージメントの指標となるminutes spent(サイトやアプリ上で過ごした時間)では、モバイルアプリでは6,056%の伸びを示して、第4位となった。

特徴的なのはユーザーの大部分が女性ということ。アプリユーザの84%、モバイルウェブユーザーの72%、PCユーザーの70%が女性という圧倒的な数値になっている。

女性ユーザーが中心というのも直感的に納得がいく。'cars and motorcycles' などを含んだ20あまりのカテゴリーに分かれているものの、画像を使ってビジュアル的にアピールするプロダクトなので、必然的に利用されるのはファッション、デザインとかインテリアデザイン。アーティスティックで洗練された写真がそのまま商品購入につながるのだから、見た目に楽しいだけでなくマネタイズにもつながる。

ユーザーの一人としては、検索機能を充実してほしいとか、もっと細かいサブカテゴリーを提供してほしいと思うわけだが、pinterestの考えている方向性とは一致しないのかもしれない。

Pinterstの一番の目的は、ユーザーが新しいコンテンツや商品を発見する場の提供だ。もし検索機能を充実させたり、細かいサブカテゴリで検索を絞り込んだら、ユーザーは探しているものを見つけてそれで「検索」という目的は果たされてしまう。となると究極のところ、グーグルの画像検索と変わらない。例えば結婚式のプランニングでどんなイメージ/テーマにしたいかわからないときに、とりあえずいろんなアイディアを見てみたい、というときにPinterestが使える。ウェディング雑誌をめくるように、pinterestの'board'をブラウズするのだ。つまり検索機能を充実するということは、逆にこのサービスのユーザー・プロポジションに反する可能性がある。

昨年、楽天が$50 millionの投資を行って日本でも有名になったPinterest。今後どのようにプロダクトを充実していくのか、どのようなポジショニングを行うのか、そしてこの勢いを2013年も続けられるのが、目が離せない。ちなみに2011年に一番の伸びを見せたInstagramだが、Nielsenの2012年トップ10のリストからは漏れている。

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