2011年2月17日木曜日

フェースブックとは仲良くしておいた方が得か、それとも真っ向から勝負すべきか。各社に迫られる選択。

Wall Street Journal にフェースブックの話が出ていたので、あらためて紹介。

フェースブックは敵か味方か、というのがテーマだ。どう自分をポジショニングするかとも言い換えられる。つまり仲良くしておいた方が得なのか、それとも敵と見てシェア争いを積極的に繰り広げるのがいいのか。各社はそのスタンスを問われている。

今のオンラインサービス業界図に名前を連ねる大物の数々、それらの境界線がはっきりしない構図になりそうな兆しは前からあったけど、最近その傾向がますます色濃くなってきている。その中心に位置して、台風の目のように周辺をかき乱しているのは、フェースブックだ。

例えばヤフー。ここ何年も「ソーシャル」になろうとして、もがいてきた。'360 social network'、'Yahoo mash'、'Yahoo updates'、'Yahoo Pulse'など数々の「ソーシャル」なプロダクトをリリース、昨年にはフェースブックもどきの'like'や'share'機能を追加したものの、どれもいまいちの結果。

となると、それらで見事な成功を重ねてきたフェースブックをヤフーは敵対視しているのだろうか。アドバタイザーの取り合い、またユーザがサイトで過ごす時間という意味では、フェースブックは一番の強敵だと言える。2010年には90億ドルに上ったと言われるオンライン広告費、ヤフーは一位の座を保持したものの、シェアを2009年の16.5%から16.2%に落とした。一方のフェースブックは、7.3%から13.6%へと飛躍的に伸ばしている。

コムスコアによると、ユーザが各サイトで過ごした時間についてもヤフーは2010年に10%減少、そしてその最大の原因はフェースブックだと言う。

一方、ヤフーコンテンツの露出をいかに増やして、yahoo.comにトラフィックとユーザを呼び戻すかという意味では、ヤフーはフェースブックと仲良くしたい。特に数々の独自の「ソーシャル」プロダクトに失敗した今、フェースブックの「ソーシャル」機能の統合を積極的に進めている。すでにヤフーのネットワーク上でフェース ブックのアップデートが見られたり、ヤフー上にフェースブックの'like' や'share'機能も統合されている。

ではグーグルはどうか。グーグルはいまだにフェースブックを「敵」と見なして、独自のソーシャルプロダクトを開発している。ヤフーのようにはまだあきらめてはいないというところだろうか。

フェースブックが誕生した当初は友達とつながるプラットフォームということで検索エンジンは対して脅威に感じていなかった。だが、いまやフェースブックはそれだけのプラットフォームではなく、新たなサイトやコンテンツを発見する場になってきている。つまり検索エンジンが伝統的に得意としていたことを、もっとソーシャルな観点から実現しているのだ。検索エンジンとは、何か調べたいものがはっきりしているときにキーワードをタイプすると、探しているサイトへのリンクを表示してくれるもの。一方のフェースブックをはじめとしたソーシャルネットワークでは、特に何かを探しているわけではないが時間つぶしに面白いビデオだったり記事を読みたいときに、予想外のコンテンツを簡単に発掘できる場になっている。友達が面白いと思ったコンテンツを自分の友達にシェアする。それがどんどん広がって、ついでにコメントまでついて友達の友達にまでシェアされていく。先日のブログでも書いた"Tiger mom"の話は、そんな感じでどんどん広まっていった良い例だ。

検索サービスだけでなく、コンテンツを発見する場、という意味ではTwitterとかぶるところも多い。ただTwitterはマーケティングとかプロモーション的な目的で使われることが一般的に多いから、厳密にはターゲットとするコンテンツの内容は微妙に分けられるんだろうけど、それでも広い意味ではかぶっている。

では、検索エンジン以外はどうか。

ソーシャルゲームの一番手となったZyngaは、フェースブック上で伸びたゲームだからフェースブックに頭が上がらないんだろうけど、その分トラフィックやレベニュー・シェアでフェースブックにも十分代償を払っているから、お互いかけがえのない存在といったところだろう。

ところがZyngaにとっては、今後はその代償がますます大きくなっていきそうだ。というのも、フェースブックの最近の発表によると、今後アプリのディベロッパーはフェースブック専用の通貨を使うことを義務付けられ、その売り上げの30%をフェースブックが確保する。このフェースブック通貨、後には実際の通貨として実際のモノを売買できるようにもするとの噂も。となると、今度はPaypalやアマゾンの競合にもなりかねない。

最近フェースブックがリリースした、ロケーションに基づく「チェックイン」機能では、レビューサイトのYelp、日本でも話題のGrouponと真っ向から敵対することになる。

モバイルの世界、特にモバイル上の広告費という点では、アップルやグーグルとも思いっきり衝突する。

また最後に忘れてはならないのは、味方になろうが敵になろうが、避けられない熾烈な競争が待ち構えているということ。それは人材の確保だ。業界図が日々変化し続ける中、これは常に問題となり、すでに上に挙げたエリアを超えてもっと広く影響しているのだ。

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