最近写真共有とかビデオ共有という話をしたので、その延長でSnapchatについて。
つい最近シリーズBで60ミリオンドルを集めることに成功、860ミリオンドルのバリュエーション(評価額)に達したという。
Snapchatとは、2011年にスタンフォード大学出身のEvan Spiegel(エヴァン・スピーゲル)とBobby Murphy(ボビー・マーフィー)が立ち上げたアプリだ。2011年9月にリリースされて以来、2012年10月には投稿メッセージ(スナップ)が累計10億件を超え、今では会員によってアップロードされる写真が1日2億件を越えているらしい。
Snapchatを使うと、数秒間で削除されて後に残らないテキスト、写真、動画などを友人に送信することができる。手元に残ってしまわないのが好都合な写真やビデオが対象ということで、学生や若者層に人気がある。悪ふざけした写真や、泥酔した際に勢いで撮った写真も、笑いのネタとして送信して数秒後にはその証拠を完全に消すことができる。スナップショットを取れば保存できてしまうが、その場合は送信元に通知が行くので、少なくとも知らないうちにスクリーンショットが保存されていたということはなくなる。その性質上、物議を呼ぶことが多いアプリでもある。
写真とは思い出を半永久的に残すためのもの、というそもそもの前提を覆して、数秒で消える写真というアイディアをアプリにしたところが面白い。
そもそも写真アプリの業界全体で見ると、5億枚もの写真が毎日アップロード・共有されている。そして、その量は今後どんどん伸びていくことが予想される。
フェースブックも昨年末に対抗サービスをローンチ、今後他の大きなソーシャルネットワークLINEなどが真似する可能性も高い。
ある調査によると、3割が採用時にフェースブックなどのソーシャルメディアをチェックして、不採用にしたことがあるらしい。主な原因は不適切な写真やコメント、アルコールや違法薬物の利用を示唆するもの、前の会社についての文句やネガティブなコメントだ。
文章や写真で記録を残して、複数人と共有するという多くのソーシャルネットワークが売りとする典型的なバリュープロポジションが裏目に出て、自分の不利に働くことが出てくるということの証明だ。
LINEの成功に見られるように、プライベート性を高めることが今後のコミュニケーションのトレンドだとも言われるが、記録として残らない「閲覧時間限定」コンテンツがそれに続くトレンドとなるかもしれない。