2011年1月16日日曜日

ベンチャーキャピタリストの先駆け ビル・ドレイパー

先日ラジオを聞いていたら、最近発売されたばかりの自著のプロモーションを行うビル・ドレイパー(Bill Draper)のインタビューが流れていた。現在83歳のビル・ドレイパーは、この国で最初のベンチャーキャピタルとされる、ドレイパー・ガイサー・アンド・アンダーソンを1958年に創立したベンチャーキャピタリストであるウィリアム・ドレイバーの息子。1964年に、いまだにアメリカでもトップのベンチャーキャピタルとして名の知れるSutter Hill Venturesを設立。その後ベンチャーキャピタリストとしての活動をいったん休止して、レーガン政権下で合衆国輸出入銀行(Export-Import Bank of the United States)のチェアマンや、国連開発計画(UNDP: United Nations Development Programme)のトップを勤めるなど多彩な職歴の持ち主だ。1994年には再びVCの世界に戻り、Draper InternationalやDraper Richardsを設立、インド、ヨーロッパ、アジアなど海外投資に目を向けてきた。父親、息子とともに、3代に渡ってベンチャー投資を続けている名門の家系で、息子のTim Draper はスカイプの投資などで有名なDraper Fisher Jurvetsonの創設者。

いくつか印象に残ったやりとりを紹介したいと思う。

起業家たちに多くみる失敗は?
多くの起業家は自分ですべてをやりたがる。co-founderなりCEOなり、自分ではカバーしきれない部分やスキル的に無理な部分は他の人に任せる(任せられる)というのは必要。ヤフーの例を出していて、彼がヤフーの創設者Jerry Yangに会った時にうまくいくと思った理由の一つとして、Jerry Yangが自分にはco-founderが必要だということをはじめから認識していたことを挙げていた。すべてを自分でやりたがる、できると思うのではなく、人に仕事をふって任せることができるというのは起業家として大切なこと。

起業家にとって大切なものは?
教育、頭の切れ、熱意。

移民の起業家が増えることについて?またそれを押さえようとする動きについて?
海外からアメリカの大学、大学院に来る学生たちはその国のトップレベルが選び抜かれている。各国のトップを集めておきながら、卒業後は学生ビザが切れたらほぼ強制的に母国に戻す、というのはアメリカ社会として大きな損失だ。ちなみに外国人で知名度のあるアメリカでの起業家としては、Paypalと電気自動車メーカーTeslaの創設者Elon Muskなどがいる。

ベンチャーキャピタリストとして成功した秘訣は?
運が良かった、につきる。ベンチャーキャピタリスト一家の家に生まれたこと、パートナーに恵まれたこと、タイミングが良かったこと、パブリックサービスでの経験で感が磨かれたことなど、運が良かった。輸出入銀行やUNDPを通して、世界中を旅していろんな人と接して広い視野を持つことができた。具体的には、インドが次の大きな投資先だということを早い時期から見極めて、Draper Internationalの設立につながった。

0 件のコメント: