先日、ファッション界の定期購入サービス大手、ShoedazzleとJustFab が合併を発表した。どちらもロスに拠点を持つサブスクリプション(定期購入)型のサービスを展開する会社で、Shoedazzleは名前の通り靴が中心、JustFabは靴からジーンズから子供服とファッションアイテムを幅広く取り扱っている。月額40ドル程度のサブスクリプション費用を払うと、「スタイリスト」によって厳選された自分のテイストにあったとされるファッションアイテムが毎月送られてくる(*ただ、Shoedazzleの料金体系は今年のはじめに変わったようだ)。自分でショッピングする手間が省ける他、「スタイリスト」が選別してくれるファッションだからスタイルに自信がなくても安心して着れるというメリットがある。
今回の合併によって、2014年には400ミリオンドルの売り上げと3,300万人以上のユーザーを世界中に抱えるまでに成長する見込みとのことだ。両社を合わせると、毎月100万人の新規ユーザーが獲得するペースで伸びているという。
こういったビジネスモデル、実は消費者よりも企業側に大きなメリットがあったりもする。何よりも大きいのは、ファッション業界では難しい定期的な安定した収入が期待できるという点。また、毎月配送するファッションアイテムを選ぶのは企業側なので、店頭やオンラインストアで売るモデルに比較すると、在庫管理がしやすい。さらには、メーカー/ブランドと協調して、消費者からのフィードバックを来月の売れ筋予想に利用したり、メーカー側での在庫管理向上に利用できるという点もある。
日本ではそこまで浸透していないモデルだが、欧米ではどの分野でもこの手の人気サービスが存在し、その数は増える一方だ。(リストについては、このサイトを参照)
双方にとってウィン・ウィンのビジネスモデルのように見えるが、どのファッションビジネスにも共通するように、ブランド力がものを言う。ブランドやセンスの信頼性をしっかりと確立して、ユーザーがこのサイトからのおすすめ商品なら信頼できると思わせるような、強いブランド力がカギとなる。
この2社に関しても例外ではなく、そのブランド力に大きく貢献しているのが蒼々たる顔ぶれのセレブリティーだ。ShoedazzleのインベスターはBrian Lee, Robert Shapiro, そしてKim Kardashian、一方のJustFabは、Kimora Lee Simmonsが「celebrity designer and creative director」として関わっている。JustFabはベンチャーキャピタルから110ミリオンドルの投資を受け、Shoedazzleは66ミリオンドルの投資を受けている。
日本ではそこまで浸透していないモデル、ということを前述したが、その点についてもう少し掘り下げてみたい。
オンラインだろうがオフライン(店頭ショッピング)だろうが、特にファッションに関しては、日本では「ショッピング」というイベントを楽しむ傾向が強いような気がする。忙しい働く女性に関しても、ショッピングというイベントを通してストレス発散、なんていう話も良く聞く。店頭でのショッピングである必要はなく、オンラインであっても、ファッション雑誌を見るようにいろんな写真やサイトをクリックして、違うスタイルを「ウィンドウショッピング」して楽しむ人は実際多いだろう。
ただちょっと考えてみると、ファッション業界以外では、学研の学習シリーズとか、生協の宅配サービスとか(購入するものを選べる点が多少異なるが)、概念自体は日本の方が昔から根付いているような気もする。もちろん消費型の食品とか学習教材(消費とは言わないかもしれないが、洋服のように長期間使用するものでもない)とファッションは一様に比較できないが、概念自体に大きな抵抗はない気がする。
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