先日アップルが研究開発費を減らしている話をしたけれど、今日はその反対とも言える話を。
先週Googleの2011年Q1決算が報告された。Larry PageがCEOになって初の決算報告ということもあって何かと注目を浴びたが、全体的には好調な出だしという見方が強いようだ。
決算報告によると、第1四半期の売上は前年同期比27%増の85億8000万ドル、純利益は前年同期比17%増で19億6000万ドルから23億ドルに達した。1株あたりの利益は、前年同期の6.06ドルから7.04ドルに増えている。ただ売上高が過去最高なる一方で、コスト増加する結果となった。
TACは20億4000万ドルで前年同期の17億1000万ドルから増加している。このほか研究開発費が12億2600万ドルと前年同期の 8億1800万ドルから増加、販売マーケティング費も同69%増の10億2600万ドルとなり、同社の営業費用は増加傾向にある。
ではそのコストはどこに費やされているのか。
まずは人材の確保。この四半期には1900人の社員が新たに入社、そして昨年末に発表された全社員一律10%の給与アップも実践され、その結果、社員の給与を含むオペレーティングコストは55%アップの28億ドルに達した。グーグルとしては、一層激しくなる人材獲得競争への対策として欠かせないという見方だ。
もう一つは、研究開発費に代表されるモバイルへの積極的な投資。現在はオンライン広告(検索結果と一緒に表示されるスポンサードサーチ)が収入の大部分を担っているものの、長期的なリターンという観点からは、モバイル広告市場がどんどん大きくなるのは間違いない。
実際アンドロイド携帯利用者は、日々350,000人のペースで増えているという。コムスコアによると今年2月時点でアンドロイド携帯のマーケットシェアは33%にまで上り、アップルやブラックベリーを抜いて一位となっている。
では研究開発費をはじめとしたコスト削減に走るアップルと、研究開発や人材への投資を増やし続けるグーグルの違いはどこにあるのか。
それは、各社が何を強み(competitive advantage)としているか、というポジショニングの違いだと思う。グーグルはあくまでも「テクノロジー」の会社というポジショニングをしている。一方のアップルは、デザイン/マーケティングの会社という位置づけだ。テクノロジーの会社であればそのコアに対する投資は生き残るために欠かせない。グーグルの場合はそれが研究開発や優秀なエンジニア人材の確保であり、アップルの場合はマーケティング費用だった。つまり、会社ごとの強みとポジショニングでその投資エリアが変わるというのは、ある意味当然だと言える。
財務指標のボトムライン重視だった前のCEO Eric Schmidtと比較すると、Larry Pageはプロダクトのバックグランドを持つ。これも、ビジネスではなくテクノロジー重視というグーグルの姿勢を今後はさらに強化していく、という意思の表れかもしれない。
このLarry Page、すでに組織の見直しを行って、最近のグーグルの一番の課題である遅くなった意思決定プロセスを改善しようとしている。帝国を築いたと言っても、フェースブックはじめ、次々と現れる新たな競合の中でうかうかとはしていられない。
ちなみに明日の4月20日、オバマ大統領がフェイスブックでタウンホールミーティングを開催する。3年前の大統領選挙キャンペーン時にはグーグルに姿を見せたオバマだが、今回はフェースブックを選んだ(?)とも言える。これもフェースブックがグーグルを脅かす存在になった表れの一つだろうか。
2011年4月19日火曜日
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿