日本では、今年3月期から年収1億円以上の役員の実名公表が義務づけられている。
リストのトップを飾るのは日産のCarlos Ghosn、ソニーのHoward Stringerといった外国人社長。これは驚きではないけど、日本人社長はどうだろうか。
この10年で日本人管理職の報酬は2倍以上になったというものの、2009年のデータによると、3,813の上場企業の中で実名公表の対象となったのは300人にも満たなかったという。PricewaeterhouseCoopers の調査によると、日本の株式市場で上場している企業の社長の平均年収は4,900万円で、一般社員のほぼ16倍だったという。対して、アメリカのトップ3000社の社長の平均年収(給料、オプション、ボーナス含む)は$3.5million (ほぼ3億円)と報告されているから、その差は歴然だ。
Carlos Ghosnが$10Mを稼ぐ一方で、ライバル社のトヨタの社長はリストにさえ入っていない。ソニーのHoward Stringerが$9.1Mを稼ぐ一方で、ライバル社のパナソニックの社長もリスト入りをしていない。
この原因の一つとしては、伝統的に日本の会社は社長が内部から採用されることが多いことがあげられる。アメリカでは外部からリクルートすることが多いため、社長候補になるハイプロファイルな人材の獲得競争が激しく、提示給与が大きなカギとなるのだ。
これは幹部レベルに限ったことではないが、終身雇用がいまだに根付いている日本ではどのポジションでも労働力の流動が海外に比べると極端に少ない。ただ労働人口が減少する一方の今後の日本では、いかに海外からの優れた人材をリクルートするかは大きな課題の一つになるだろう。そしてその際に、給料水準の低さが一つの障害になるのも明らかだ。
加えて、日本での物価の高さが足かせになる。個人的にはサンフランシスコの方が物価が高いのでは?と思ったりするけど、アメリカ人がアメリカでのライフスタイルをそのまま東京に持ち込もうとしたら(ステーキを食べ、買い物は商店街ではなくて紀伊国屋でないといけないとか。。。)、確かに東京では相当の出費になると思われる。実際Mercer Consultingによると、物価の高い都市ランキングでは大阪が6位、東京が2位にランクインしている。
もう一つの問題は、労働人口が減少する日本からさらに労働力が流出していく可能性があるということ。若者の世界観が広がって、海外でのキャリアかつ金銭的なチャンスの大きさを知ったら、日本を飛び出していく若者は少なくないだろう。それを引き止めるためにも、金銭的なインセンティブは一つのカギになると思う。
今まで日本経済の強さの一因とされてきた謙虚さとか忠誠心だが、これからの時代はかえって仇になるかもしれない。
さて最後に、面白いのは日本のメディアと海外のメディアの受け取り方の違いだ。「200人以上も1億円プレーヤーがいることが判明」と報道する日本メディアに対して、「1億円を超える社長の数があまりにも少ないことに驚き」というのがアメリカでのトーンだ。
もう少し視野を広げて、このあたりの認識を変えていくのが第一歩かもしれない。
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