この週末、Obama周辺で騒がれているのは子犬。キャンペーン期間中からObama姉妹への「公約」だった子犬の到着がこの火曜日にようやく実現するらしい。振り返れば昨年選挙戦が終わって以来の長い道のりだった。Obama側は動物保護協会からは「優良プリーダーで育てられた恵まれた血統付き子犬よりも、飼い主のいないシェルターの犬を引き取るべき」という一環したプレッシャーを受けながら、最終的に落ち着いたのは、ブリーダー出身で一度飼い主に引き取られたものの、何かの都合で再びブリーダーのもとに返された「ホームレス子犬」だった。Portugese water dogという種類は一般的にかなりアクティブらしいので、アンティークや貴重品の多いホワイトハウスでは活発すぎるのでは?という心配の声もあがっているらしい。さてこのブリーダー、さぞかし誇りに思って大々的に名前を宣伝するのかと思いきや、匿名のままで通すだろうと推測されている。何故かというと、血統書付きの子犬を買い手から返されたという汚点、そして何よりもこの手の話題で注目をあびると何かと荒さがしの的になりやすいという前例からだ。例えばVice PresidentのJoe Bidenが引き取ったジャーマンシェファードを育てたブリーダーは、名前を明かしたその後から、散々な目に会っている。「シェルターの犬を引き取るべきだった」「血統書付き犬を欲しいがために今までの犬を捨てて、ブリーダーから新たな犬を買う人が増えている」とか言う非難の的にされ(ちょっと的違いな気がするが)、州の役員が家まできて立ち入り調査をする始末。裁判沙汰にまでなって無実が証明されたものの、そのたびに弁護士を雇って、精神的にもコスト的にも参っているという。
ふと興味を持って、捨てられたペットを引き取る橋渡しをしている団体のサイトを見たら、リスティング数は全米の中でもカリフォルニア州がダントツに多かった。全人口が多いことに比例してペット数が多い(それだけ捨てられるペット数も多い)こと、またそれゆえに団体が力を入れて、その結果リスティング数が増えたとも言えるが、この近辺はペットを家族同然に扱う文化が色濃いと思っていたので、意外だった。少なくともサンフランシスコ〜シリコンバレー近辺で見かける犬たちは、広い家で家族の一員としてのびのびと生活しているように見えるし(東京の一人あたりのスピースよりも確実に広いスペースを占領している!)、会社によっては犬を連れてきて勤務時間中は職場に置いておけたりもするから、世界一幸せな犬たちに見える。でもふと見渡すと、わたしの周りでもシェルターから犬を引き取って飼っている友達や知り合いは相当多い。一度捨てられた犬が、近所の家族に救われて平和な暮らしを見つけるという循環システムが存在しているだけなのかもしれない。
またブリーダーが非難の的となっているもう一つの理由には、異なる品種間の配合を人工的に行うブリーダーが増えているという背景がある。売れるからとか可愛いからという人間の身勝手な理由で、むやみに人工的な雑種作りに励んでいるブリーダーが多いのだと言う。大統領一家のする選択、子犬にしても着る洋服にしてもお抱えシェフの選択にしても、全国民が一致で賛成する選択肢は不可能だし、くだらない記事も氾濫している。ただそれによって、この手の社会問題が浮き彫りにされるのは悪くないかも。
2009年4月13日月曜日
2009年4月8日水曜日
H1Bの狭き門
H1Bビザというのはアメリカで働く場合にもっとも一般的な就労ビザで、最長6年間の就労が認められる。毎年4月1日に募集が始まり、最近では毎年6万5000人ほどのビザが認められていた。この定員を超えた場合は抽選となる。NYテロ事件以来、発行されるビザの数が減ってビザの取得がだんだん難しくなっていたのだが、それに追い打ちをかけるように最近の急激な失業率の増加で、アメリカ人の働き口を奪いかねない外国人の雇用をもっと厳しく規制すべきという議論が持ち上がっている。
この就労ビザ、もとはアメリカ人の中からは見つけるのが難しいスキルを持った有能な外国人社員を採用する、というアメリカ企業・経済を支える名目のもとで始まっている。ところが現実的には明確がガイドラインがあるわけではない上に、最近はアウトソーシングを請け負う会社の利用が急激に増えている。つまり、有能な外国人を使ってアウトソーシング企業がアメリカで成長をとげれば、アメリカ企業のアウトソース化を促すことになり、結果的にアメリカ人の働き口を奪っていくことになる。失業率の増加という超短期的な影響に加えて、こういった中長期的な懸念も広がっている。
一般的にシリコンバレーの企業はハイテク系が多いこともあり、外国人労働者への依存度は極めて高い。わたしの会社を見ても、半分以上は外国出身者ではないだろうかという勢い。エンジニア系のチームでは特に、インド人と中国人が圧倒的に多い。また外国人社員が多いことで有名なマイクロソフトは、2007年にカナダに大きなオフィスを設けて、有能な外国人を雇っている。カナダだったらアメリカにも地理的に近い上に(特にマイクロソフトの本社のあるシアトルには近い)、アメリカと違って外国人が雇いやすい、というのが理由だ。
歴史的な不景気の中、不安が広がるのはもっともだと思う。でもこの手の政策、短期的な効果を期待して早まると長期的なダメージが大きいのでは。スキルを持った外国人を雇うことによってアメリカ企業が成長すれば、結果的にアメリカ景気にとってはプラスになる。アメリカが外国人労働者への門を閉じてしまえば、マイクロソフトの例のように、カナダや他国が有能な外国人をどんどん囲い込んでいくかもしれない。そして何よりも、移民の国であるアメリカのアイデンティティがだんだん崩れていってしまう。
この就労ビザ、もとはアメリカ人の中からは見つけるのが難しいスキルを持った有能な外国人社員を採用する、というアメリカ企業・経済を支える名目のもとで始まっている。ところが現実的には明確がガイドラインがあるわけではない上に、最近はアウトソーシングを請け負う会社の利用が急激に増えている。つまり、有能な外国人を使ってアウトソーシング企業がアメリカで成長をとげれば、アメリカ企業のアウトソース化を促すことになり、結果的にアメリカ人の働き口を奪っていくことになる。失業率の増加という超短期的な影響に加えて、こういった中長期的な懸念も広がっている。
一般的にシリコンバレーの企業はハイテク系が多いこともあり、外国人労働者への依存度は極めて高い。わたしの会社を見ても、半分以上は外国出身者ではないだろうかという勢い。エンジニア系のチームでは特に、インド人と中国人が圧倒的に多い。また外国人社員が多いことで有名なマイクロソフトは、2007年にカナダに大きなオフィスを設けて、有能な外国人を雇っている。カナダだったらアメリカにも地理的に近い上に(特にマイクロソフトの本社のあるシアトルには近い)、アメリカと違って外国人が雇いやすい、というのが理由だ。
歴史的な不景気の中、不安が広がるのはもっともだと思う。でもこの手の政策、短期的な効果を期待して早まると長期的なダメージが大きいのでは。スキルを持った外国人を雇うことによってアメリカ企業が成長すれば、結果的にアメリカ景気にとってはプラスになる。アメリカが外国人労働者への門を閉じてしまえば、マイクロソフトの例のように、カナダや他国が有能な外国人をどんどん囲い込んでいくかもしれない。そして何よりも、移民の国であるアメリカのアイデンティティがだんだん崩れていってしまう。
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