2010年7月12日月曜日

LeBron Jamesと経済効果

今月の大きな話題と言えば、NBAのスーパースターLeBron Jamesが移籍先としてMiami Heatを選んだこと。Jamesは高校からNBAにスカウトされて以来、本人の地元でもあるクリーブランド(Cleveland Cavaliers)でスターの座を確保、ほぼ無名だったチームをチャンピオン候補にまで成長させた。Cavaliersはファイナルに進むことはできなかったもののプレイオフには残り、過去最高の成績で今シーズンを終えた。

Jamesのこの7年間の功績をたたえる一方で、それだけの年数かけてもクリーブランドをチャンピオンにできなかったJamesを「失格」と呼ぶ声もある。バスケットボールはあくまでもチーム競技で、スーパースター一人の力で優勝できるわけではない。クリーブランドのチームは脇役不足、このスーパースターをアシストする力がなく、Jamesはその状況に満足していないというのがもっぱらの噂だった。

そんな中、ついに今シーズンを終えた7月1日にフリーエージェント入り。年間20億円相当(日本のスポーツ選手年俸との規模が違いにも注目)を稼ぐこのスーパースターの移籍先が、プレイオフ中から注目を浴びていた。

必死で引き止めたいクリーブランドの狙いは、チームの成績だけではない。

というのも、このJames獲得した7年前以来変わったのはランキングだけではないのだ。クリーブランドという、人口数が全米で40位以下、確立した産業があるわけでもなく、経済的に落ち込んでいる都市に対して、Jamesは大きな経済効果をもたらした。

James獲得以来、Cavaliersの観客動員数は59%上昇(ホームゲームの場合)、今シーズンはチーム結成以来はじめて41のホームゲームのチケットを完売した。

では、チームの成績が上がることでホームタウンにもたらす経済効果とはどの程度なのか?シカゴ大学ビジネススクールの調査によると、New York, LA, Chicago, Dallas, Philadelphia, Miami, Washington, Boston, Cleveland というNBA人気チームが拠点を構える都市では、人口の5%がプレイオフゲームにだったら100ドル余分に支払ってもいいと回答した。クリーブランド以外は人口が5百万人を超える都市なので、その5%が100ドル余分に払うとしたら、相当な収入増になる(もちろん収容できる客員数の範囲で、だけど)。もちろんそれに伴いグッズの売り上げも伸びるだろう。

先日CNNのLarry Kingショーでのインタビューを見ていたら、「クリーブランドの経済に対して責任は感じない?」と質問されていた。いかにスーパースターでも、一都市の経済状況を負わせるのは酷な話。

インタビューでも言っていたけれど、このレベルになるとお金の問題ではない。チャンピオンシップを勝ち取れるチームメートとコーチが揃ったチーム、ということがこの25歳にとっては本当に一番大事なのだ。